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自閉症の特性をマンガで紹介 岡山・支援学校教諭成沢さん新著

新著を手に発達障害への理解を呼び掛ける成沢さん

「『日常生活』おたすけじてん」の一部

 特別支援学校教諭を務める傍ら、自閉症など発達障害について著作活動を行う成沢真介さん(54)=岡山市北区=が新著「マンガ版自閉症『日常生活』おたすけじてん」「自閉症ガールひまわりさんの日常」を相次いで出版した。他人の気持ちを読めなかったり、特定のこだわりが強かったりする特性への理解を呼び掛けている。

 「『日常生活』おたすけじてん」は、主に当事者の子ども向け。家庭や学校で困りがちな「片づけが苦手」「放課後の過ごし方がわからない」「教室に入るのがこわい」など50の問題について、4こま漫画で分かりやすく解決策を示し、対人関係などソーシャルスキル(社会技能)を伝える。

 例えば、学校の給食当番で牛乳を運んでいたら、廊下にいた友達の肘が当たったケース。「わざとぶつかった」「みんながいじわるをしている」という思い込みに対して、友達は周りを見ていなかった可能性を伝え「『すいませんが、通してください』と聞こえる声で言えば、道をあけてくれます」と助言する。

 一方、「ひまわりさんの日常」は、自閉症のある子どもの目に社会がどう映っているかを、長年の指導経験を基に想像して書いた。特別支援学校小学部4年の女の子「ひまわりさん」の学校生活を、教師と本人それぞれの視点で描き、共著の坂井聡・香川大教授が解説を加えている。

 冒頭、ひまわりさんはスクールバスで登校直後、プランターの土いじりに夢中になる。教師が手を取って立ち上がらせようとすると、寝転んで泣き叫ぶ。そのこだわりについて、本人の視点では「土がわたしをとらえてはなさない。(教室へ)行きたくても行けない」と表現している。

 「本人しか分からないところはあるが、周りと違う視点を持つのは確か。想像を働かせて分かろうとすることが大切」と語る成沢さん。そうした理解を広げたり、ソーシャルスキルを伝えたりすることで「トラブルや本人の苦しさを減らしたい」と願っている。

 「『日常生活』おたすけじてん」は合同出版刊。A5判112ページ、1404円。「ひまわりさんの日常」は少年写真新聞社刊。A5判104ページ、1512円。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年07月31日 更新)

タグ: 精神疾患

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