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イラクの子を遠隔診断 国際貢献大学校 ネット使い400人計画

 相次ぐ自爆テロなど治安悪化が続くイラクで、十分な治療が受けられない子どもたちを救おうと、国際医療ボランティアAMDAグループが運営する公設国際貢献大学校(新見市哲多町田渕)は、現地医療機関と連携しインターネットを使った遠隔診断に乗り出した。

 外務省の渡航自粛要請で現地入りが難しいことから、AMDA医師が現地医療機関から電子メールで大学校に送信される検査データを基に、病名や病状を診断。バグダッド、バスラなどの大病院への患者搬送・転院、緊急治療の助言をする。

 既に緊急を要する腎疾患などの子ども数人について、電子メールで診断・助言を開始。今後、現地の複数の医療機関と協議を重ね、随時支援に入る。診断内容によっては、光ファイバーの遠隔医療実験で連携している岡山大に協力を要請する。年間四百人程度の診断を検討している。

 五月下旬、日本の選挙制度の研修に岡山県庁を訪れたイラク独立選挙委員会(IECI)の一行が、県と大学校との意見交換会で支援を強く要請。大学校は渡航せずにできる遠隔診断を提案した。

 IECIによると、イラクでは医療機関同士で連携が取れず、転院は困難を極めているという。「高度な医療で信頼の厚い日本人医師の所見があれば、搬送や治療がスムーズになる」としている。



全力尽くしたい

 的野秀利・公設国際貢献大学校校営管理者の話 IECI一行の中には「平和なイラクになるまでしばらくの間、助けてほしい」と涙ぐむ人もいた。現地に出向くことはできないが、岡山大など各方面に相談しながら全力を尽くしたい。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年06月22日 更新)

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