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はしか感染拡大 頭痛めるワクチン確保 岡山県内医療機関 月内に臨時供給

はしかの感染拡大で供給が追いついていない予防ワクチン

 岡山市内の大学や専門学校で麻疹(ましん)(はしか)の感染が明らかになる中、県内の医療機関は、予防ワクチンや抗体の検査試薬の確保に頭を痛めている。県教委は三十一日、児童生徒にも感染が確認されたと発表。学校現場も警戒を強めるが、今月末までにはワクチンの臨時供給が予定されており、県は「それまで手洗い、うがいなど感染予防の徹底を」と呼び掛ける。


 県内の各医療機関は、予防ワクチンが不足する中、感染リスクが高く定期予防接種が必要な幼児用の確保を優先させる動きを見せている。

 岡山赤十字病院(岡山市青江)は三十一日現在、はしか・風疹混合ワクチン四十人分を確保。重症化の恐れもある二歳未満の幼児や、罹患(りかん)歴と接種歴がない二歳以上の子どもを最優先している。接種歴などがある成人には、事情を説明した上で、あらためて判断を求めている。

 循環器科部長の氏平徹医師は「医療ニーズには幅広くこたえたいが、ワクチンに限りがある。現状では子どもを優先させたい」と理解を求める。

 同様の動きは他の医療機関でも見られる。川崎医科大付属病院(倉敷市松島)も在庫は少なく、十八歳以上の接種を行っていない。津山中央病院(津山市川崎)は五月二十八日現在で五人分しかなく、妊婦や幼児を第一としている。

 こうした医療機関側の動きに、接種歴がない岡山市内の会社員男性(33)は「接種を考えていたが、子どもの健康は第一。それでも出張の機会も多く感染は不安なので、ワクチンが早く十分に供給されてほしい」と望む。

 接種の必要を判断する抗体検査に使う試薬も不足している。国立病院機構岡山医療センター(岡山市田益)では、大人の接種希望者を対象に抗体検査を実施。ところが検査会社側に試薬が十分になく、判定に二十―十日掛かっているという。

 ワクチンと試薬の不足に、岡山市内の病院関係者は「この状況で、予防接種や抗体検査を広く呼び掛けても現実的でない」と困惑する。

 県保健福祉部によると、県内の薬品卸販売大手五社の在庫ワクチンは百八十二人分(三十一日現在)で品薄状態。今後、六月末までに全国で約五十万人分の臨時供給が予定され、接種希望はおおむね満たせるとみられている。同様に検査試薬も約六十万人分が流通される見通し。

 県医薬安全課は「まずは、感染症予防で基本となる手洗いとうがいを心掛けてほしい」と呼び掛けている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年06月01日 更新)

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