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(25)白内障のレーザー手術 高畠西眼科 高畠隆院長

画像を見ながら、レーザー照射位置を判断する高畠院長(手前)

白内障手術を行う高畠院長。1日になるべく多くの手術を行う

眼科医療への熱意を語る高畠院長

多焦点眼内レンズ(高畠西眼科提供)

高精度な切開 眼球の負担減

 高齢になるとともに、罹患(りかん)者が増える白内障。かつて白内障手術といえば、目が見えなくなって行う最終手段というイメージがあった。しかし手術技術の進歩、質の良い眼内レンズ開発により、現在は、生活の質を高めるための前向きな治療となっている。中四国地方初となるレーザー白内障手術機器を導入した高畠西眼科では、院長の高畠を中心に、通常の手術に加え、より精度の高い手術を積極的に行っている。

 白内障は、眼球内でレンズの役目を果たす水晶体のタンパク質が、さまざまな原因で変性して濁り、視力が低下する。加齢が原因のケースが最も多く、50代以上ではほとんどの人に軽度の症状がある。アトピー性皮膚炎や糖尿病などの合併症、風疹などによる先天性の原因でも発症。目がかすみ、光が乱反射してまぶしく感じるなどの自覚症状が出る。

 通常の手術は、点眼薬で局所麻酔をした後、角膜をメスで切開しピンセットを挿入。水晶体の袋の前面前〓(のう)をつまみ、直径5ミリ程度の円形にはぎとる。超音波機器で濁った水晶体を細かく砕いて吸引し、アクリル樹脂製の眼内レンズ(直径6ミリ程度)を挿入する。

 最も難しいのは、前〓を円形に切り取る部分。レンズの性能を最大限に生かすには、瞳の中心にコンパスで描いたような真円に近い穴を開ける必要がある。だが熟練の眼科医でも、手作業で正確な位置に真円を切り取ることは難しい。さらに高齢になるほど水晶体は硬く、超音波では砕くのに時間がかかる。時間が長いと眼球組織への負担が大きく、感染症のリスクも高まる。

 これらの難点を補い、高精度な結果を得られるのがレーザー手術だ。水晶体の形状を立体的に読み取りながら、レーザー照射で前〓の最適な位置を真円に切開し、水晶体を一気に細かく分割。超音波で砕く必要がなくなるため、眼球への負担が大幅に減る。この技術を求め、県内外、さらには国外からも患者が訪れる。

 「いずれは誰がやっても一定のクオリティーの手術ができる時代が来る」と高畠。だからこそ、力を入れるのは手術前の患者とのやりとりだ。元々の目の状態(近視、遠視、老眼など)を調べ、術後にどのような状態を望むかを十分に聞き取り、手術方法やレンズの種類を選択する。「患者にとって何が最適か、眼科医の“見極め”が非常に大切になってくる」と語る。

 例えば白内障手術で使う眼内レンズには、一つの距離に焦点を合わせる「単焦点レンズ」と、遠距離・近距離など複数距離に焦点が合う「多焦点レンズ」がある。術後に眼鏡の使用頻度を減らしたいなら、近視や老眼などの屈折異常も改善できる多焦点レンズが望ましい。しかしその性能を最大限に発揮するには、高精度のレーザー手術が最適だ。手術前と同じ眼鏡を使用する前提なら、通常手術で単焦点レンズを挿入しても、白内障前の状態を十分取り戻せる。“最新”の機器や手術法が、どの患者にとっても最適とは限らない。

□  ■

 1935年に岡山市内に眼科医院を開院した祖父、父に続き、眼科医として三代目の高畠は、2012年に高畠西眼科を開院。患者により早く快適な生活を取り戻してもらおうと、手術件数をなるべく増やすことを重視し、15年の白内障手術は1796件に上る。日に30件の手術を行うこともあるが、その手の動きは正確さを失わない。「長い歴史がある白内障手術。その分、良くなって当然という患者の期待は大きく、ミスは許されない」と高畠。眼科医としての確かな腕と経験に加え、最新機器の助けも得て、患者の大切な目を守り続けている。

※〓は嚢のハが口を横に二つ並べる

(敬称略)
     ◇

 高畠西眼科(岡山市北区田中138―101、086―238―1124)

 たかばたけ・りゅう 岡山操山高、近畿大医学部卒。岡山大病院、国立病院機構岩国医療センター、川崎医科大付属川崎病院を経て、2005年に岡山大病院眼科助教。12年に高畠眼科医院副院長となり、同年11月に高畠西眼科を開業。日本眼科学会認定眼科専門医。42歳。


多焦点眼内レンズ
眼鏡の頻度減も 慣れには個人差


 多焦点眼内レンズによる白内障治療は、厚生労働省認定の先進医療。高畠西眼科は2013年4月から実施施設となっている。15年の白内障手術のうち、多焦点レンズ手術は429件。国内トップクラスの手術数を誇る。

 国内で使用されている多焦点レンズの多くは、2種類の距離に焦点が合うタイプ。患者ごとに、必要な焦点距離を組み合わせる。スポーツやドライブをよくするなら遠距離、仕事でパソコン作業が必要なら中距離、読書が趣味の人は近距離といった具合だ。

 眼鏡をかける頻度を大幅に減らせることを期待し、挿入を希望する人が増えているが、レンズ挿入後の見え方に慣れるかどうか、慣れるまでの時間には個人差がある。

 人間の目は水晶体の厚みを変えて、見たい距離に焦点を合わせる。多焦点レンズは常に複数距離に焦点が合うため、「今焦点を合わせたい距離」を脳が自然に判断するよう訓練が必要。事例は少ないが、使いこなせず単焦点に交換するケースもある。

 黄斑変性など網膜疾患、進行した緑内障がある人は使えない。メリットやデメリットを眼科医とともに検討することが必要だ。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年09月05日 更新)

タグ: 高齢者高畠西眼科

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