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小児がん患者への陽子線治療開始 津山中央病院の治療センター

 津山中央病院の「がん陽子線治療センター」(津山市川崎)は13日、小児がん患者に対する初めての陽子線照射治療を行った。1日1回、30分程度の照射を約1カ月半にわたって繰り返し、経過を観察していく。

 陽子線治療は放射線治療の一種で、がん細胞を透過するエックス線と異なり、ピンポイントで病巣を破壊できるのが特長。正常な細胞や臓器への影響が抑えられ、手術のような臓器摘出もないため、成長過程の子どもへの治療に期待が集まっている。費用は照射回数にかかわらず通常288万円かかるが、小児がんについては今年4月から公的医療保険が適用され、患者の経済的負担が軽減された。

 患者は広島県在住の女児で、筋肉などにできる骨軟部腫瘍を骨盤から足にかけて発症。これまで岡山大病院(岡山市北区鹿田町)で主に抗がん剤治療を進めてきたが、成果が見られないため、陽子線治療に切り替えたという。

 この日は患者の不安を和らげるため、陽子線照射室に縫いぐるみを置くなどして対応。担当した同センターの脇隆博医師(38)は「既に別の小児も診療を待っており、ニーズは高い。子どもたちに、少しでも体に優しい治療を提供したい」と話している。

 センターは、津山中央病院が中四国で初めて整備。岡山大病院と共同運用し、4月から治療を始めている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年09月13日 更新)

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