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適切な透析時間算出 尿素濃度センサー開発 岡山理科大グループ

中川教授(左)と尾崎准教授が開発した透析時間を制御する尿素センサー(手前)

 岡山理科大(岡山市理大町)応用物理学科の中川益生教授(センサー物理学)と尾崎真啓准教授(臨床工学)が、人工透析患者個々の症状に合わせ、適切な透析時間を算出する「尿素センサー」を共同開発した。患者の負担を軽くする効果が見込め、実用化に向けた研究を進めている。

 人工透析は、腎臓の機能低下により尿素などの毒素を尿で排出できない患者のために行う。腕や足に針を刺して血液を体外へ出し、透析液を使って浄化して体内に戻す。透析に要する時間は平均約四時間だが、時間の長短は患者の体格や医師の経験に基づいているのが現状とされる。

 開発したセンサーは、透析液の廃液中の尿素に酸の一種を加え、化学反応で発する光の量を計測装置で測り、パソコンで数値化する。三分おきに濃度を測るため、患者の状態に見合った透析時間を算出できるという。

 センサー開発は、元岡山県臨床工学技士会会長の尾崎准教授の発案で一年ほど前から始め、今年三月に特許を出願。高さ三十センチ、幅と奥行きは二十センチで透析装置に連動させ、尿素が除かれたと判断されれば自動的に装置を停止させる仕組み。

 尾崎准教授は「本来、透析時間は体質などに応じて患者ごとに異なる。センサーにより、患者の透析時間を過不足なく算出できるようになる」と話し、実用化に向けてセンサーの小型化、生産コストの低減を図る方針。

 岡山県医師会透析医部会の草野功会長は「透析時間は、患者の年齢や腎臓の残存機能を総合的に考えて医師が判断しているが、センサーが実用化されると指標の一つになる」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年07月02日 更新)

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