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加齢や衰え「ロコモ」判定で予防 岡山大の千田教授にポイント聞く

「ロコモ度テスト」の方法などを話す千田教授

 腰痛、膝痛など運動機能の衰えを示す「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」。2007年に日本整形外科学会が提唱した概念で「ロコモ」という略称を耳にする機会も増えた。同学会はロコモの進行度を簡単に判定できる「ロコモ度テスト」を13年に導入、啓発に力を入れる。同学会が定める10月8日の「骨と関節の日」を前に、岡山大病院総合リハビリテーション部の千田益生教授にテストの方法や予防のポイントを聞いた。

 ―要介護になる二大要因の一つがロコモ関連疾患とされる。

 寝たきりなど要介護になった原因のうち、約4分の1をロコモ関連疾患が占める。ロコモは加齢と、骨、関節、筋肉といった運動器の衰えが合わさって発症する。高齢化社会を迎え、今後も患者は増えるだろう。

 ―自分がロコモかどうか、知るにはどうすればよいか。

 「ロコチェック」と呼ばれる簡単な方法で調べられる。片足立ちで靴下がはけない▽家の中でつまずく▽階段を上るのに手すりが必要▽横断歩道を青信号で渡りきれない―など七つの項目でチェックする。一つでも当てはまるとロコモの疑いがあり、注意が必要だ。

 ―ロコモの進行度は分かるか。

 3種類の「ロコモ度テスト」によって把握できる。まず下半身の筋力を測る「立ち上がりテスト」。高さ40センチのいすに座り、片足で立てるかをみる。次に、大股で2歩進んだ幅を身長で割った値によって歩行能力を判断する「2ステップ」。三つ目は、背中や腰の痛み、家の中での歩行困難度など25項目の自覚症状について質問に答える「ロコモ25」。それぞれの結果にロコモ度(1、2)が示される。度数2はより足腰が弱った状態だ。

 ―ロコモは普段からの予防が大切だ。

 日常生活の中で行う“ロコトレ”がお勧め。できるだけ若いころから、片足立ちやスクワットといった体操を毎日10分ずつ続けるとよい。運動は健康づくりに欠かせない。走ったり、泳いだりでなくても筋肉を動かすだけで十分。継続的な運動とバランスの取れた食事を心掛け、元気に長生きしてほしい。

 ■ 10月2日、岡山で啓発イベント

 「骨と関節の日」にちなみ、岡山県整形外科勤務医会などは、啓発イベント「ロコモ度テストでロコモを測ろう!」を10月2日午前10時~正午、岡山市北区奉還町の岡山国際交流センターで開く。

 岡山大整形外科の尾崎敏文教授がロコモについて解説した後、千田益生教授がロコモ度テストをテーマに講演する。足腰を鍛える体操の実技もある。

 参加無料。先着200人。問い合わせは岡山大整形外科(086―235―7273)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年09月27日 更新)

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