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スマトラ沖地震半年 現地で救援 AMDA菅波茂代表に聞く 危機管理の徹底が重要 医療従事者育成始める

菅波茂代表

 スマトラ沖地震による津波被災地では、国際医療ボランティアAMDA(本部・岡山市楢津)の救援活動が続く。最大被災地のインドネシア・アチェ州を中心に巡回診療などの救援活動を展開。菅波茂代表に、これまでの活動内容や今後求められる支援の在り方について聞いた。

 ―AMDAとして、どのような支援活動に取り組んできたのか。

 「地震発生翌日の昨年十二月二十七日以降、医師らスタッフをアチェ州の州都バンダアチェに派遣している。最初の二、三週間は物資の調達や配布、病院内での医療活動が中心だったが、巡回診療や医療ニーズの調査、子どもの心のケアに順次取り組んでいる。麻酔専門医が一人しかいないため人材育成も必要で、六月からは医療従事者育成プロジェクトを始めた」

 ―現在の被災地の様子は。

 「現地からの情報では、五月中旬の段階でがれきが少しずつ片づき、雨風をしのぐ程度の建物が建ち並び始めたところだ。道路も徐々に復旧し始めたが、水道や電気はまだ復旧のめどはたっていないという」

 ―大規模な災害発生時の対応は、どうあるべきなのか。

 「誰が指令を出し、地域住民をどう避難させるのかという緊急事態対応が明確でなかったことが、今回の被害を大きくした一因と考えられる。政府や病院関係者ら意思決定権のある人に対して災害医療の緊急対応を指導し、危機管理を徹底させることが重要。私たちは七、八月にかけて被災地で危機管理のプログラムを具体化させる予定だ」

 ―NGO(非政府組織)としてできることは何か。

 「政府とNGOができることをしっかり見極めておかなければならない。政府はインフラ整備、NGOは対人サービス。良いサービスを提供するためには、道路や水道、電気などのインフラ再開が不可欠だ」

 ―国際規模での支援体制の構築も急がれる。

 「国連難民高等弁務官事務所は難民、ユニセフ(国連児童基金)は子ども、WHO(世界保健機関)は災害医療情報と、これまで各機関はそれぞれに活動を展開してきた。だが、被災地救援の立場からは国連、国際機関がそれぞれ担ってきた役割を一元化することが重要なのではないか。災害の時代といわれる二十一世紀に、統合された司令塔のような存在が求められる」

 ―津波被災地での活動を、AMDAの今後にどう反映させるのか。

 「岡山発国際貢献だけでなく、災害発生日に被災地入りして支援する『被災地発国際貢献』を提唱していきたい。現地は当日こそ大いに支援を必要とする。今後は海外に事務所を増やしたり、姉妹団体や一カ国一大学と協定を結ぶなど、AMDAネットワークを広げていくつもりだ」


 すがなみ・しげる 1976年、岡山大大学院医学研究科修了。81年に岡山市内に内科医院を開業、84年にAMDAを設立。広島県神辺町出身。58歳。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年06月26日 更新)

タグ: 健康福祉医療・話題

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