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岡山大とIAEAが連携協定締結 最新のがん放射線治療確立へ

新たな放射線治療の研究・教育に関する協定に調印し、握手する森田学長(中央)とベンカテッシュ部長(左)ら

 岡山大は26日、「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」と呼ばれる最新のがん放射線治療の確立に向け、国際原子力機関(IAEA)と研究・人材育成に関する連携協定を結んだ。放射線治療の規制を担うIAEAに大学の研究情報を提供したり、教育プログラムを共同で作ったりして治療の世界標準化を目指す。

 BNCTは、ホウ素化合物(ホウ素薬剤)を点滴で体内に注入して中性子(放射線の一種)を照射し、ホウ素を取り込んだがん細胞のみを破壊する。同大によると、標準治療化されれば従来の放射線治療に比べて身体的、経済的負担が軽減される。同大は2009年にホウ素薬剤の研究を開始。中性子発生装置の開発も他大学と共に進めており、5年後の治験開始を目標にしている。

 協定を踏まえ、研究情報をIAEAと共有し、同機関による治療のガイドライン策定に寄与したい考え。共同でBNCTに関する教育プログラムを作るほか、IAEAが支援する発展途上国から人材を受け入れて指導することも想定している。

 この日岡山大で、森田潔学長、メーラ・ベンカテッシュIAEA原子力科学・応用局物理化学部長らが協定に調印した。森田学長は「BNCTの発展につながることを期待している」、ベンカテッシュ部長は「原子力の平和的利用で世界の人々に貢献するため、岡山大と協力する」と述べた。

 同大とIAEAは昨年6月、放射性廃棄物管理に関する研究で協定を結んでいる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年10月26日 更新)

タグ: がん岡山大学病院

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