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歯科でもミャンマー支援本格化 岡山大が医師を受け入れ

情報交換するミャンマーの歯科医師(前列)と岡山大の教授ら

 長年にわたり、医療人材の育成など人道的な立場でミャンマーを支援してきた岡山大は、従来の医学分野だけでなく、歯科分野でも交流を本格化させている。現在、歯学部で受け入れた同国の歯科医師4人が口腔(こうくう)病理や歯科矯正学などの研究・臨床、教育プログラムの習得に励んでいる。

 岡山大は2002年、ミャンマー保健省の2部局と交流協定を締結。若手医師の受け入れや共同研究、現地での手術指導、巡回診療などを続けている。

 歯学部では12年以降、定期的に教員らが現地を訪問。ミャンマーでは、かみたばこの習慣がある影響で口腔がん患者が多いとされ、虫歯などもかなり進行した時点で初めて受診するケースも少なくないという。こうした現状を目の当たりにし、現地でのがん検診などに力を入れてきた。

 昨秋には4年課程の大学院に留学生1人を初めて受け入れた。かみ合わせを改善する外科手術や先天的な口の病気「口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)」の治療法を学ぶほか、矯正学の教育プログラムへの理解を深めている。「診断能力を高めるのはもちろん、教育方法も身に付けたい」とイ・イ・ス・ラインさん(36)。帰国後は指導的立場になることを期待されている。

 9月には3カ月の予定で3人が来日。口腔がんの治療に役立てるため細胞診について学んだり、同大病院で外来診療に加わり歯科麻酔をテーマに研修したりしている。ノウ・メィ・ポウさん(37)は「ミャンマーには口腔病理医はいない。技術を母国で広めたい」と意気込んでいる。

 飯田征二副病院長は「散発的な支援ではなく、長く続けられる交流にしたい。こうした取り組みは大学の国際化にもつながる」と話す。

 同大とミャンマーの交流は、NPO法人「日本・ミャンマー医療人育成支援協会」(事務局・岡山市)の協力を得て実施。理事長の岡田茂同大名誉教授は30年以上、同国と医療分野での交流を行っている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年11月29日 更新)

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