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岡山大 感染症研究に海外拠点 印とミャンマーで整備へ

 岡山大医学部の小熊恵二学部長(病原細菌学)らのグループが、コレラやマラリア、結核など感染症の長期研究を行う同大初の海外拠点を、ミャンマーとインドに整備する計画を進めている。同大はすでに現地の国立機関と共同研究を実施しており、国際医療ボランティアAMDA(本部・岡山市楢津)などの協力も得て、新薬開発や流行メカニズムの解明などを進め、感染症の制御・撲滅を目指す。

 計画では、今年中にミャンマーの国立医学研究所と、インドの国立コレラ・腸管感染症研究所内に拠点を開設。同大を中心に、広島大、自治医科大など他の八機関も協力して教授陣を派遣し、現地スタッフとマラリアの新型ワクチンの開発やコレラ菌など病原菌の分析、拡大経路の解明などに当たる。現在、国に補助金を申請している。

 現地では、コレラ菌や腸チフス菌などの抗体を含む生卵を“ワクチン”として家畜に与える試験も実施。将来的にはヒトが食べた場合の効果を探る臨床試験も行う。津波など災害時に衛生状態が悪化した場合、冷凍保存した卵を非常食を兼ねて配布し、伝染病の拡大を抑えるのが狙い。

 ミャンマーなどは過去、世界的に流行した伝染病の発信源になっているといわれ、国を越えた対策が急務となっている。

 岡山大は一九九六年度から、岡田茂前医学部長を中心に、赤血球に異常が起きるサラセミア症と肝がんの関連をミャンマーの国立医学研究所と共同研究。九八年度からはインド政府の要請で、医歯薬学総合研究科の岡本敬の介教授らがコレラなどから起こる下痢症の対策に当たっている。

 小熊学部長は「感染拡大を防ぐには、長期にわたる現地での研究が不可欠。岡山大の持つノウハウを最大限生かし、両国との取り組みをさらに発展させたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年06月29日 更新)

タグ: 医療・話題感染症

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