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県内子ども予防接種ミス214件 13年度から3年間、間隔や回数

岡山市が配っている接種回数分の申込書が付いた「予防接種手帳」と接種時期を記した冊子。保護者の勘違いを減らすのが狙いだ

 子どもへの定期予防接種で、医師がワクチンを注射する間隔や回数を間違うといったミスが岡山県内で後を絶たず、統計を取り始めた2013年度からの3年間で計214件に上ることが県などへの取材で分かった。中国5県では最多で、県は医療機関などに注意を促しているほか、保護者には接種の際に、過去の記録が記された母子健康手帳などを持参するよう呼び掛けている。

 ミスの内訳は、2回以上の接種が必要な場合に定められた間隔を空けなかった「接種間隔の間違い」が125件と半数以上を占めた。次いで、規定より接種回数が多い「不必要な接種」56件▽「接種年齢の間違い」11件▽「期限切れのワクチン使用」9件▽「ワクチンの種類の間違い」6件―など。健康被害は確認されていないという。

 年度別では、13年度が105件と最多で、14年度56件、15年度53件だった。

 子どもを対象にした予防接種はB型肝炎、BCG、肺炎球菌など10種類あり、接種回数は1~4回。接種間隔もワクチンごとに細かく決められている。

 県健康推進課によると、複雑な接種方法に対する医師の理解不足がミスの大きな要因とみられるという。このため、同課は国立感染症研究所(東京)が作成したミス防止のポイントをまとめたパンフレットを実施主体の市町村や医療機関に配り、注意を促している。

 一方で、間違いの中には保護者の勘違いが原因となったケースもあると思われるため、「接種記録が分かる母子健康手帳などを必ず持参してほしい」とする。

 県内では、岡山市や倉敷市のように、どのワクチンを何回打つかが保護者に分かるよう、母子健康手帳とは別に接種回数分の申込書をつづった手帳や接種時期を記した冊子を配っているところもある。

 中国地方の他の4県の13~15年度の合計件数は、広島173件、山口199件、鳥取80件、島根73件。

 国の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の委員を務める中野貴司・川崎医科大小児科学教授は「予防接種は子どもたちの健康を守るために100パーセント正確に行われなければならない。医療者と市町村は健康被害がなかったからといってうやむやにせず、ミスが起きた原因を分析して再発防止に努めてほしい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年12月13日 更新)

タグ: 子供

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