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抗菌薬で歯周病改善 山下・岡山大名誉教授実施 17人全員に効果

山下敦・岡山大名誉教授

 歯茎が傷み歯が抜けることもある歯周病に対し、歯科医の山下敦・岡山大名誉教授が原因の細菌を除去する薬物療法に取り組んでいる。一般的な外科治療に比べ、痛みを伴わないのが特徴。患者十七人に試みたところ、出血や膿(うみ)がなくなるなど症状が改善したという。

 歯周病は、口の中の歯周病菌が引き起こす感染症。歯と歯茎の間に歯こうがたまった後にできる溝(歯周ポケット)が次第に深くなり、溝の中で歯周病菌が増殖、歯を支える歯槽骨や歯茎を破壊する。

 山下名誉教授は、昨年二月から薬物療法を実施。治療ではまず、患者の口腔(こうくう)内から歯こうを採取し歯周病菌の種類を特定。感染症治療に使われる抗菌薬アジスロマイシンなど複数の抗菌薬の中から菌の種類に合ったものを選び、患者は三日間服用する。治療効果を高めるため、歯周病菌の原因となる歯こうや歯石を除く処置(SRP)も行う。

 症状の重い患者十七人の経過を観察したところ、投与開始から一週間後にすべての患者で出血や膿が止まり、六カ月後も同じ状態が続いていた。

 治療成果を二日の日本補綴(ほてつ)歯科学会中国・四国支部学術大会(徳島)で発表する山下名誉教授は「結果を見る限り有望な治療法と思う。今後も普及に努めたい」と言い、同じく薬物療法に取り組む鶴見大(横浜市)の五味一博歯学部准教授は「歯周病は細菌が原因なので、抗菌薬を使うのは自然な治療法。歯科医療の現場で広がってほしい」と期待を寄せている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年09月02日 更新)

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