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岡山大が米デトロイトに研究拠点 iPS細胞由来のがん幹細胞解析

 岡山大は20日、大学間協定を結ぶ米ミシガン州のウェイン州立大に共同研究拠点を開設したと発表した。大学院自然科学研究科の妹尾昌治教授(生物工学)らのグループが手掛けるがん細胞を巡る研究を加速させる狙い。来春にも本格稼働させる。

 計画では、岡山大の研究者1~2人が常駐。妹尾教授らは人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、がんのもとになる多種多様な「がん幹細胞」を作り出して解析することで、一人一人の患者に合った治療法の開発を目指しており、同州立大や併設されているがん研究所の研究員らと共同研究する。

 拠点は、同州立大に昨年10月に開設された「統合バイオサイエンスセンター」のオープンスペースの一角を賃借。研究者用オフィスと細胞培養ができる実験スペースを確保した。「岡山大ウェインラボ」の名称で運用する。契約期間は12月1日から2年間。

 妹尾教授は「互いのコミュニケーションが密になり、新しいアイデアが生まれやすくなる。両大が中心となって国際的な産学官の連携組織をつくり、米国内での資金獲得も目指したい」としている。

 同州立大はデトロイトにある総合大学で、1868年に創立された。岡山大のグループは2012年、マウスのiPS細胞を培養する方法でがん幹細胞の作製に世界で初めて成功。その後、iPS細胞から異なる種類のがん幹細胞も生み出している。両大は14年に共同研究や教員、学生の交流に関する協定を結んでいる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年12月20日 更新)

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