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仲間と支え合う小児がん患者家族 会設立の青山さん「力貸して」

あゆみの会の母親たちと活動について話し合う青山さん(左)

 奈落の底に落ちたような気持ちだったという。

 「泣きたいのに、隣の夫も青い顔でぼうぜんとしていた。あの時すがる人がいれば…」。昨年5月、小児がん患者家族会「あゆみの会」を立ち上げた青山由香里さん(37)=岡山市東区=は、一人息子(10)=小学4年=が急性リンパ性白血病だと告げられた瞬間を思い返す。

 不安に胸がつぶれそうな青山さんが前を向けたのは岡山大病院(岡山市北区鹿田町)の主治医嶋田明准教授(小児血液・腫瘍科)の一言があったから。「治療中に親がどう過ごすかで子どもの人生が変わるんですよ」。告知とともに言葉を添えてくれた。

 入院は2014年8月から1年3カ月に及んだ。おしゃれな息子は治療で頭髪が抜けてしまうと知り、泣きだした。ベッドは無菌を保つビニールカーテンに覆われ、食事制限で好きなおやつも食べられなかった。

 明るい母でいようと決心していた青山さんも、検査値が良くないと笑顔が消えそうになった。そんな時に支えてくれたのが、同じ病棟で子どもたちに付き添う母親たち。毎日不安や悩みを話し合っていたという。

 退院後も心配は尽きない。地元小学校への復学、病気の再発、生活費の工面…。家族同然だった仲間の母親たちとは会う機会が減り、なかなか相談できない。「身近ですぐに集まれる場がほしい」と、会の設立を思い立った。

 嶋田准教授らの後押しもあり、35組ほどの家族が入会。これまでに交流会を2回、岡山大病院で開いた。脳腫瘍や肉腫の患者家族もいる。

 会の代表として支え合いの輪を広げようと呼び掛ける青山さん。ピア(仲間)サポーター養成研修を受講し、電話相談も始めた。岡山県内全域への活動拡大を目指しており「多くの人たちが私たちのことを理解し、力を貸してくれれば」と話す。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年01月22日 更新)

タグ: がん子供岡山大学病院

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