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インフルワクチン新技術を開発 川崎医科大グループ 製造コスト減

齊藤峰輝教授(左)と内藤忠相助教

 川崎医科大(倉敷市松島)は24日、微生物学教室の齊藤峰輝教授、内藤忠相助教(ともにウイルス学)らの研究グループが、従来製法より効率的にインフルエンザワクチンを製造できる方法を開発したと発表した。新しく作り出したワクチン製造用ウイルス(ワクチン株)を使うことで、ワクチンに利用できない変異したウイルスの増殖を大幅に減らせるという。製造コスト低減につながる研究として注目される。

 インフルエンザワクチンは一般的に、ワクチン株を有精卵の中で複数回増やした後、精製して製造する。その過程でウイルスの遺伝子が変異し、ワクチンに向かない性質のウイルスが多数出現することが課題となっている。これが、コスト増の一因とされる。

 グループは、ウイルスが増殖する際に必要な遺伝子複製酵素に着目した。この酵素のアミノ酸配列を人為的に一部変え、これまでより正確に増殖するワクチン株を作ることに成功。変異した遺伝子の出現率は従来の2分の1に減少した。

 研究には2009年に国内外で流行した新型インフルエンザウイルス「H1N1型」を用いたが、鳥インフルエンザなど他の型のウイルスにも応用できるという。齊藤教授は「今回の技術を使えば、これまでにないタイプのワクチン株を作ることができ、新たな型のインフルエンザ流行に備えた研究や創薬にもつながる」としている。

 論文が1月上旬、米国の科学雑誌電子版に掲載された。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年01月24日 更新)

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