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腫瘍で切断 大腿骨の代わりに脛骨  岡山大が国内初手術 骨盤に接続、義足歩行楽に 

大腿骨を切除した回転形成術のイメージ図

国定俊之准教授

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の国定俊之准教授(整形外科学)らのグループは、骨腫瘍(しゅよう)のため切断した大腿(だいたい)骨の代わりに、本人の健康なひざ下の脛(けい)骨を百八十度回転させて骨盤につなぎ合わせる国内初の手術に成功した。従来の人工関節を埋め込む方法に比べ再手術の必要がなく、動きが制限されにくいのが特徴。患者のQOL(生活の質)向上につながる術法として注目される。

 患者は中国地方の男子小学生(10)。左脚大腿骨のほぼ全長(約二十五センチ)にがんができていた。

 手術は三月に実施。骨盤と脛骨の間の大腿骨を神経だけ残して切断した後、脛骨を骨盤につなげた。その際、足首の動きで義足を動かせるよう、回転形成術と呼ばれる手法で脛骨を百八十度回転させた。

 骨腫瘍は数十万人に一人と発症数は少ないが二十歳以下に多い。骨とその周りの筋肉を切除し、代わりに人工関節を埋め込むこれまでの方法だと、耐用年数が二十年程度と短く、成長とともに左右の足の長さに差が生じ小児には使いにくい。筋肉が半分なくなるので足を曲げにくいなど動きにも制限があるという。

 患者は術後約半年が経過し、義足をつけて歩けるまで回復。執刀した国定准教授は「数年すれば骨盤と脛骨の接続がさらにスムーズになり、スポーツもできるようになる」と話している。

 骨腫瘍などで脚を切除する際に用いられる回転形成術は、日本では千葉県がんセンターなど、数カ所でしか行われていない難手術。岡山大は約十年前から尾崎敏文教授(整形外科)らが十例程度実施しているが、大腿骨すべてを脛骨で代用させたケースはなかった。

QOL向上期待

 石井猛・千葉県がんセンター整形外科部長の話 今回の症例だと、足の切断か人工関節を使うかの方法しかなかったが、回転形成術の成功で新たな治療方法を示すことができた。QOLは大きく向上すると思われ、今後の回復状況などに注目したい。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年10月12日 更新)

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