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難聴乳幼児支えて30年 岡山かなりや学園 検査普及などで早期発見増加 施設への期待高まる

ままごと遊びなどを通して言葉を覚える訓練を行う親子ら=岡山かなりや学園

 全国初の難聴乳幼児向け通園施設「岡山かなりや学園」(岡山市西古松)が今年、創設三十年を迎えた。零歳から小学校入学前まで、これまでに六百人を超す子どもの言葉の発達を支援。医療技術の向上や新生児聴覚検査の普及などで難聴が見つかる年齢は下がっており、施設への期待は一層高まっている。

 「お茶をどうぞ」「ありがとう」…。両耳に補聴器をつけた二、三歳児が、残った聴力と唇の動きを読む「口話」、手話を組み合わせながら、職員や母親とままごと遊びを楽しむ。言葉を覚える訓練の一環だ。

 生後直後に難聴と分かった女児(3つ)の母親(31)=岡山市=は「早くから指導を受けてきたので、特に支障もなく会話できる」と言う。

 岡山かなりや学園は一九七五年四月、故高原滋夫岡山大名誉教授を中心に設立。それより十五年前、岡山市の内山下小学校(当時)に設けた全国初の「難聴学級」で、小児難聴は、より早い段階から気付いて療育する必要があると痛感したのがきっかけだったという。

 開園以来、岡山大医学部と連携して訓練に取り組み、個人に加え、年齢や難聴の程度に応じたグループ別指導も取り入れてきた。グループ指導では、おしゃべりや音楽に合わせて体を動かすリズム遊びなどを通じてコミュニケーション方法を教えている。難聴への保護者の理解を助ける講習会も開いている。

 三十年間で六百四十四人が通園訓練を受け、通園の入り口となる外来診察には三千八百十五人が訪れた。現在は子ども四十六人に対し、言語聴覚士や医師、栄養士ら計二十人のスタッフが支援に当たる。

 千人に一、二人とされる先天性難聴について、県内では早期発見に向けた体制が整いつつある。県は二〇〇一年七月、産科を持つ医療機関に呼び掛け、新生児聴覚検査をスタート。今では県内の全新生児の約75%が検査を受けられる。小学校入学以前での療育の需要が高まる中、県内唯一の難聴幼児通園施設の岡山かなりや学園が担う役割は大きい。

 福田章一郎園長は「近年は、ADHD(注意欠陥多動性障害)など他の障害を併せ持つ子どもも目立つ。時代に応じた療育の在り方を考えていくことが、今後の課題」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年07月04日 更新)

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