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岡山大病院がベトナムで肺移植へ 21日に6歳男児へ、海外2例目

ベトナムの病院で手術室を確認する大藤教授(手前)=昨年10月

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)はベトナムに肺移植チームを派遣して21日、重い肺の病気に苦しむ6歳男児への肺移植手術を行う。執刀する臓器移植医療センターの大藤剛宏教授は「ベトナムで肺移植の成功事例はまだない。幼い命を救うため、初の成功を目指したい」としている。

 大藤教授は2011年にもスリランカで初の肺移植を成功させており、同大の海外での移植手術は2例目となる。

 男児は、肺に空洞ができて膿(うみ)がたまり、呼吸不全などを引き起こす難病・嚢胞(のうほう)性線維症を患っており、移植以外に助かる手段がないという。大藤教授と呼吸器外科医、麻酔科医、看護師らの肺移植チーム計29人が19日に関西空港から渡航し、首都ハノイの軍医大学病院で執刀する。

 手術は現地のドナー(臓器提供者)2人からそれぞれ片肺の下部の提供を受ける生体両肺移植。日本に比べ医療水準が低いとされるリスクを少しでも軽減するため、大藤教授らは現地スタッフとの打ち合わせや設備の確認を入念に重ねており、医療器具も日本から持ち込む。

 軍医大学病院はベトナム初の心臓、肝臓、腎臓移植を既に行っているが、最も難易度が高いとされる肺移植は実施したことがない。岡山大病院の肺移植は国内最多の164例(脳死80例、生体84例)で、世界トップクラスの成功率を誇っており、昨年10月にベトナム側から要請があった。

 大藤教授は執刀後も患者の術後管理のため、一部スタッフとともに現地に約2週間滞在する予定。「アジアの移植医療発展のためにも全力を尽くしたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年02月09日 更新)

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