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ベトナム初の肺移植成功へ準備 岡山大病院チーム、男児ら診察

肺移植を控え、大藤教授(左端)らの診察を受けるビン君

 ベトナムの6歳男児への生体両肺移植を21日に控え、岡山大病院(岡山市北区鹿田町)の移植チームは20日、手術を行うハノイの軍医大学病院を訪れ、男児やドナー(臓器提供者)を診察した。機材のチェックなども終え、同国初の肺移植成功に向けて準備を整えた。

 男児は肺に空洞ができて膿(うみ)がたまり、呼吸不全などを引き起こす難病・嚢胞(のうほう)性線維症を患うリー・チュン・ビン君。執刀の大藤剛宏教授や麻酔科医ら3人がドナーの父や叔父とともに診察し、いずれも感染症などにかかっておらず手術に耐えられる状態と確認した。

 ビン君は時折むせるなど苦しそうな様子を見せたが、問診には終始明るい表情で答えた。大藤教授が岡山南高(同奥田)の生徒から託された千羽鶴を手渡すと、目を輝かせて喜んだ。母親は「肺移植を受けられるなんて夢のよう。何の迷いもなく手術の成功を信じるだけ」と涙ぐんでいた。

 チームは手術室で機器類の作動状況を確認し、日本から持ち込んだ鉗子(かんし)などもセットした。現地スタッフとの協議も終えた。大藤教授は「ビン君は年齢より体が小さく移植肺のサイズが適合するか不安はあるが、幼い命を救うため全力を尽くしたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年02月21日 更新)

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