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ベトナム初の肺移植に成功 岡山大病院、男児の容体安定

ベトナムの男児への肺移植手術を行う大藤教授(中央)ら肺移植チーム=21日午前10時43分(日本時間午後0時43分)、ハノイ

 ベトナムに派遣されている岡山大病院(岡山市北区鹿田町)の肺移植チームは21日、肺の難病に苦しむ6歳男児への生体両肺移植をハノイ市内の大学病院で行い、手術は約6時間半で無事終了した。男児の容体は安定しており、チームは「手術は成功した」と明らかにした。順調なら約2カ月で退院できる見通しで、肺移植では同国内初の成功例となるという。

 執刀医の大藤剛宏教授らによる移植は21日午前10時(日本時間正午)すぎに始まった。男児に人工心肺を取り付けて両肺を取り除き、並行して臓器提供者(ドナー)の父と叔父からそれぞれの片肺の下部を摘出。男児へ移植した。

 チームによると、男児は同年齢と比べて体が小さく、提供肺のサイズが適合しない懸念があった。術後も胸を閉じずICU(集中治療室)で治療を続けることも視野に入れていたが、ドナーの肺や男児の胸の状態に不具合はなく、予定通りに閉胸し、再手術の必要もなく終えることができた。

 手術は肺移植の成功率で世界トップクラスの実績がある岡山大病院が、ベトナム側の要請を受けて昨秋から準備を進めてきた。19日に麻酔科医や看護師ら計29人の移植チームが現地入り。当面は慎重に男児の経過を見る必要があり、大藤教授ら一部スタッフは約2週間滞在する。

 男児はリー・チュン・ビン君。肺に空洞ができて膿(うみ)がたまり、呼吸不全などを引き起こす嚢胞(のうほう)性線維症を患い、移植以外に命を救う手段はなかったという。

 岡山大病院は2011年にスリランカで初の肺移植を成功させており、同大の海外での移植手術は2例目となる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年02月21日 更新)

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