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ベトナム男児の移植肺、良好に機能 岡山大病院の大藤教授が診察

大藤教授(左)に付き添われ、手術を終えたばかりの男児と対面する母親(中央)=21日夜、ハノイ

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)チームによるベトナムでの生体両肺移植から一夜明けた22日、ハノイの大学病院内の集中治療室(ICU)に収容された6歳男児は、移植肺が良好に機能し容体も安定している。順調なら約2カ月で退院できる見通しだ。

 執刀した大藤教授が同日朝、男児を診察した。レントゲンで肺の状態を確認した後、ファイバースコープで気管支内の血の塊やたんを慎重に取り除いた。男児は人工呼吸器をつけ、麻酔が効いた状態で、血圧や心拍数などに異常はなく、呼吸状態も落ち着いている。臓器提供者(ドナー)2人の術後の経過も良好という。

 当面は日本人医師が24時間体制で付き添う。大藤教授は「拒絶反応を起こさないよう注意深く見守り、現地の医師にも適切に引き継げるようにしたい」と話した。

 手術終了後の21日夜には母親が男児と対面。「このまま良くなれば、どこにでも行けるようになる。本当に幸せ。とても感謝しきれない」と涙を流し、医師団にお礼を述べた。

 男児はリー・チュン・ビン君。肺に空洞ができて膿(うみ)がたまり、呼吸不全などを引き起こす難病・嚢胞(のうほう)性線維症を患い、移植以外に助かる手段はなかったという。ベトナム国内では初の肺移植成功例となる。

 岡山大病院は2011年にスリランカでも同国初の肺移植を成功させており、海外での移植手術は2例目だった。

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年02月22日 更新)

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