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延命、尊厳死 家族らに意思伝達を 17年度から岡山県が啓発事業

 最期にどんな医療を望むかを、元気なうちから岡山県民に考えてもらう啓発事業に県が2017年度から乗り出す。パンフレットを作ったり、住民向けの講演会を各地で開いたりして、自らの意思を家族らに伝えておくように訴える。

 県医療推進課によると、患者の意思が確認できないまま、救命のために濃密な治療が行われているケースが多い。それが患者と家族にとってよいことか、医師も葛藤を抱えており、結果的に医療費の増加にもつながっているという。

 自力で呼吸や食事ができなくなったときに、人工呼吸器を着けるか、胃ろうなどの栄養補給をするか、あるいはこれらを拒否し自然に死を受け入れる尊厳死を選ぶかといったことをあらかじめ決めておくことの意義を説明するパンフレットを作製し、県内の役場や公民館などで配布する。最期に希望する医療を書き留める「リビングウイル」と呼ばれる文書の見本も作り、希望する医療機関などに置いてもらう。

 講演会は、リビングウイルの普及に努める医師らの協力を得て開く。また、特別養護老人ホームやグループホームなどにも、入所者から事前に延命治療への意思を確認しておくよう要請していく。

 県が昨年行った県民満足度調査によると、人生の最終段階で望む医療について「家族と話し合ったことがない」という人が約6割を占めた。延命治療は「望まない」が51%で、「望む」は5%にとどまった。「どちらかというと望まない」は23%、「分からない」が19%いた。

 県医療推進課は「病院で一日でも長く生きたいのか、あるいは住み慣れたわが家で穏やかに最期を迎えたいのか、一人一人の生き方に関わる問題だけに、数年間は事業を継続し、少しずつ機運を盛り上げていきたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年02月26日 更新)

タグ: 医療・話題

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