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子どものワクチン接種は確実に 3月1日から「予防週間」

赤ちゃんにロタウイルスの予防接種をする医師。病気のリスクを減らすため、岡山県医師会などは確実な接種を呼び掛けている=岡山市北区田中、青山こどもクリニック

 生後2カ月から始まるワクチンの予防接種。かつて日本では、欧米に比べて使用できるワクチンが少なかったが、現在は国際水準に追いついた。そのことが接種回数の増加につながってスケジュールが複雑化し、混乱する親も少なくない。3月1日から「子ども予防接種週間」(7日まで)。岡山県医師会などは母子健康手帳による履歴の確認と、確実な接種を呼び掛けている。

 同週間は入園、入学を前に履歴を見直してもらい接種漏れをなくそうと、国や日本医師会などが2004年に設けた。今年は趣旨に賛同する岡山県内106医療機関が期間中、通常は休診時間帯の土曜日午後、日曜日などにも開院して接種を受け付ける。

 子ども対象の予防接種は「定期」「任意」の2種類に分けられる。定期は予防接種法で定められ、昨年10月に加わったB型肝炎ワクチンやインフルエンザ菌b型、肺炎球菌など10種。決められた期間内に受ければ公費負担で無料になる。任意はインフルエンザ、おたふくかぜ、ロタウイルスの3種で、有料だが市町村によっては助成制度がある。

 過去に予防接種を受けたかどうかは、母子健康手帳で確認できる。医師は手帳に履歴を記載する義務があるため、子どもがいつ、何を受けているかが分かる。気を付けたいのは、引っ越した場合。自治体間で情報が引き継がれないこともあり、行政からの接種漏れの通知が来ない場合もあるからだ。

 「仕事で病院に行く余裕がなかった」「体調不良で予定していた接種が受けられず、どうすればよいか分からない」など、接種に関する悩みは、川崎医科大総合医療センター(岡山市北区中山下)にある県予防接種センター(086―225―2355、火、金曜午後1~4時)や居住する市町村に相談するとよい。接種を推奨している期間を過ぎると効果が落ちる場合もあるが、それでも感染リスクは大幅に減らせるという。

 一般的に接種率が95%を超えれば、感染拡大による流行は防げるとされる。岡山県の2015年度接種率をみると、かつて「日本は“輸出国”」と批判された麻しん(2回接種)は、1歳時の第1期95・5%、就学前の第2期は94・4%。同じく風しんは第1期95・6%、第2期94・3%。徐々に上がってはいるものの、いずれも第2期が95%に届いていない。

 県医師会の国富泰二感染症担当理事は「予防接種は個人予防はもちろん、流行を防ぐ集団予防の意味も大きい」と指摘。「ワクチンを打つことで防げる病気は、接種で予防するのが基本。副作用のリスクを医師からきちんと説明を受けた上で、予防接種を積極的に受けてほしい」と話している。

 3月4、5日に開院する医療機関は岡山県医師会のホームページ(http://www.okayama.med.or.jp)で確認できる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年02月27日 更新)

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