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(3)外来における看護師のサポート 倉敷スイートホスピタル外来看護科長 竹本美由紀

写真1

(写真2、上から)しっかりとお湯で洗います。皮膚キュレットという道具でウオノメ、タコの処置。電動グラインダーでタコの処置。ゾンデという道具で爪の周囲の処置

竹本美由紀外来看護科長

 生物学的製剤という画期的な薬剤が使用されるようになり、関節リウマチの治療は進んでいますが、まだまだ苦痛や不安を抱えながら生活をされておられる方は多くいらっしゃいます。

 看護師は医師と同じように専門領域があり、関節リウマチの領域でも日本リウマチ財団による「登録リウマチケア看護師」という認定制度があります。

 これは、リウマチ疾患に関する看護技術と知識をもち、リウマチ専門医と協力して、系統的(流れに沿った)治療により患者さまの健康と福祉に貢献することを目的としています。関節リウマチを早期に診断・治療をし、重症化を防ぎ、身体的、精神的、経済的苦痛を最小限にするために、私たち登録リウマチケア看護師が中心となって他職種と連携を持ち、包括的な援助に取り組んでいます。

 今回は当院での外来における登録リウマチケア看護師の具体的な介入とケアのうち、「フットケア」についてご紹介いたします。

 2014年以降、当院外来では登録リウマチケア看護師が積極的に「足病変」へのケア(フットケア)に取り組み、患者さまの満足度向上に努めています。リウマチ治療を長期にされている患者さまの中には、変形の強い症例でも我慢されているケースが多くあります。潰瘍形成や蜂窩織炎(ほうかしきえん)の発症も多く、足病変が重篤になる前に気付き、ケアし、報告し、解決していくことも登録リウマチケア看護師の役割でもあります。

 関節リウマチの患者さまの足にはさまざまな変形=写真1=がみられます。それによる痛みばかりでなく、皮膚の病変が生じることもあり、爪の水虫を発症されることも多くみられます。また、脱臼に伴い、足底へ骨が突出した状態になり、これがタコの原因となることもあります。

 このような足病変に対し、私たち登録リウマチケア看護師が行うフットケアについてお話しいたします。

 はフットケアの簡単な流れです。

 まず、しっかりと観察を行い、処置やケアを行います。自宅でも継続してケアができるように、気を付けるポイントをお伝えしています。ご家族を含めて、ご自宅でできる方法を提案し、これからのケアについて相談をしていきます。また、継続してフットケアを行うため、次回の診察時にも医師が診て評価します。

 次に具体的な処置をいくつかお示しします=写真2

 現在のリウマチ治療は、生物学的製剤の登場によって格段の進歩がみられていますが、このように私たち登録リウマチケア看護師がフットケアに直接関わることで、医師による薬物治療や手術療法とは違った視点から介入し、患者さまのQOL(生活の質)の向上を目指しています。

 患者さまにおかれましては、どうかご自身の足をよく観察し、異常かな? と感じたら主治医に遠慮なくご相談されるのが良いと思います。当院看護部では病院での処置のみならず、パンフレットも独自に作成し、患者さまにお渡しすることで、皆さまの「足」の健康を願っております。

 次回は、関節リウマチの手術療法についてお話しさせていただきます。

     ◇

 倉敷スイートホスピタル(086―463―7111)

 たけもと・みゆき 広島・山陽女子高、川崎医療短期大学卒。2012年から倉敷スイートホスピタル勤務、14年4月から現職。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年03月06日 更新)

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