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岡山県内患者平均入院期間27日 15年、県目標を2年早く達成

 岡山県内の患者が病院に入院する期間は年々短くなり、2015年は平均27・0日と、「17年までに27・4日」と掲げた県の目標を2年早く達成したことが県などへの取材で分かった。医療費抑制のために国が短縮化へ強力に誘導するとともに、在宅医療が普及してきたことや、病院とかかりつけ医、介護施設との連携が進んでいることなどが要因とみられる。

 15年の平均入院日数は、06年からの10年間で5・1日短くなった。全国平均(27・9日)を下回り、47都道府県で短い方から14番目だった。入院日数の短縮による医療費の削減効果は年間260億円と試算している。

 病床機能別でみると、全病床の6割を占める急性期向けの一般病床の平均入院日数は17・6日。全国平均(16・5日)より長いものの、06年より3・4日短縮した。

 入院の短縮化へ向け国は、一般病床の入院が長期化するほど医療機関の報酬が下がる仕組みを取り入れている。患者の意向に反して退院を迫るような事態も懸念されるが、「患者と病院がトラブルになったケースは聞いていない」(県医療推進課)という。

 国は、急性期治療を終えた患者が在宅や施設で暮らせる橋渡しのためにリハビリなどをする地域包括ケア病棟という制度を14年に設け、一般病床からの転換を促している。県内では全病床の約6%の約1700床が転用していることも短縮化の一因になっているようだ。

 また、急性期を脱したものの長期の医療的ケアが必要な人を対象とした療養病床と精神病床も短くなっている。15年に限ると、療養病床は全国で7番目、精神病床は8番目に入院期間が短かった。

 療養病床は、在宅医療の普及や介護施設の増加、精神病床は各病院が症状が悪化しないように初期対応に力を入れていることが短縮の要因とみられる。

 ただ、医療機関側の受け止め方は複雑なようだ。

 地域の複数の病院と患者の入退院について連携し合っている国立病院機構岡山医療センターの佐藤利雄院長は「病院によっては『これ以上の入院日数の削減は困難』『空きベッドが増えて経営が厳しくなった』といった声が聞かれる」と話す。

 入院日数の短縮について、国は各都道府県が定める医療費適正化計画に目標値を定めるよう求めている。県医療推進課は「診療報酬面での国の政策誘導と、医療機関の努力によって入院日数の目標を達成できた。介護施設などとの連携を強めることで、入院日数はさらに短くなるだろう」としている。

 全病床の平均入院日数(15年)は、東京(21・6日)、神奈川(21・9日)、長野(23・0日)などが短く、鹿児島(42・1日)、高知(41・8日)、佐賀(40・5日)などが長い。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年03月18日 更新)

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