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乳酸菌で花粉症治療 岡山大など全国6大学 計600人で臨床試験 年内にも着手

岡野光博准教授

 岡山大大学院の岡野光博准教授(耳鼻咽喉(いんこう)・頭頸部(けいぶ)外科学)らのグループは、乳酸菌が花粉症の症状改善に効果があることを確認する臨床試験に、全国五大学と共同で年内にも着手する。計六百人の患者を対象にしており、乳酸菌を使った花粉症治療の臨床試験としては過去最大規模になる。

 乳酸菌が花粉症に有効という報告は一部の医学論文でも紹介されているが、データを裏付ける臨床試験の患者数は数十人単位で、十分な科学的根拠を得るためにも規模を拡大した検証が求められていた。

 今回は、国の免疫アレルギー疾患の予防・治療研究事業「代替医療の実態と有効性の科学的評価」の一環として行われ、岡山大のほか、千葉大、日本医科大、山梨大、秋田大、鹿児島大の計六大学が参加。患者は各大学が百人ずつ担当する。

 花粉症は、花粉(抗原)から体を守ろうと人間の免疫機能が働くことで起こるアレルギー性鼻炎の一つ。スギやヒノキの花粉によってできた抗体が、再び入ってくる抗原を受け入れまいと反応し、くしゃみや鼻水などの症状を出す。

 乳酸菌は原因となる抗体を減らす作用があり、臨床試験ではその働きが強いとされる「KW乳酸菌」を使用する。カプセル状にしたKW乳酸菌の粉末を服用するグループと、乳酸菌を含まない粉末を飲むグループが毎日一カプセルを半年間服用。定期的に症状を確認し、血液検査で抗体の量などを比較する。

 岡野准教授は「この種の臨床試験を全国規模で行うのは初めて。乳酸菌の効果や限界を科学的に明らかにできる絶好の機会」と話している。

 研究グループは、岡山大病院(岡山市鹿田町)に二カ月に一回通院することなどを条件に、試験参加者百人を募っている。問い合わせは耳鼻咽喉科(086―235―7307)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年12月13日 更新)

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