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前立腺がん 岡山大が新遺伝子治療 厚労省承認 来年早々実施へ

 厚生労働省の厚生科学審議会科学技術部会(部会長・垣添忠生国立がんセンター名誉総長)は二十七日、岡山大病院(岡山市鹿田町)が申請していた前立腺がん遺伝子治療の実施を承認した。免疫力を高める物質をつくる遺伝子を注入しがんを攻撃する仕組みで、国内初となる。

 国レベルでの遺伝子治療の承認は二十二件目。同大は肺がんと別の手法による前立腺がんで臨床研究を実施済みで、今回が三件目。泌尿器科(公文裕巳教授)が担当し、来年早々にも治療が行われる見込み。

 免疫遺伝子治療といわれ、がんに対する体の免疫力を高める体内物質「インターロイキン12」を利用。この物質をつくる遺伝子を、運び屋となるアデノウイルス(風邪ウイルスの一種を無害化)に組み込み患部に注射。免疫細胞を活性化させ、がんを攻撃する。

 転移が進んだ人も含めホルモン療法が効かなくなった患者(二十一―三十六人)を対象に、一カ月に一回ずつ注射し発熱などの副作用を確認するほか、腫瘍(しゅよう)の縮小などを調べる。

 公文教授は「自分のがん細胞をワクチン化して全身効果を狙う手法で世界的に注目されている。新たな治療として確立させたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年12月28日 更新)

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