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年末年始は急病に注意!! 乳幼児編 症状の見極め大切 大人編 適量自覚し飲酒を

入院中の子どもを診察する久保主任医長

(イラスト)

 新年会や同窓会など、楽しい行事が多い年末年始。休診する医療機関が多いだけに、不規則な生活による体調不良、子どもの急な病気には十分気を付けたい。いざというときに落ち着いて対応できるよう専門医にアドバイスしてもらった。


乳幼児編 症状の見極め大切

 生後一カ月―六歳までの乳幼児は、夜間に急な発熱や嘔吐(おうと)などを起こすことがある。そんな時、親はすぐに救急へ連れて行くべきか、翌日まで待ってかかりつけ医に行くべきか迷う。国立病院機構岡山医療センター(岡山市田益)の久保俊英主任小児科医長が症例別の対応を解説する。

急な発熱

 生後三カ月未満の場合、個人差はあるものの三八度前後の熱を出したら重症化の恐れがある。一般的に生後三カ月ごろまでの乳児は母親の免疫で守られており、病気にかかりにくい。この時期の発熱はまれで、髄膜炎、肺炎などの可能性があるからだ。

 生後三カ月以上だと、無表情で活気がない▽尿が出ない▽水分を取りたがらない―などの症状が現れていなければ半日程度様子を見て、熱が続くようなら病院へ。慌てなくても良いが、汗をよくかくので、こまめに着替えさせ、脇やまたといった太い血管が集まる個所を冷やすと効果的。

嘔吐・下痢

 嘔吐や下痢が主な症状の感染症胃腸炎は、嘔吐が続いたり、水のような下痢が一日に何回もある場合は、脱水になる前に救急外来の受診を。

 脱水症状は、尿量の減少▽尿の色が濃い▽ぐったりしている▽くちびるや口が乾燥している―などから判断できる。離乳食が始まっている子は、薬局などで売っている幼児用イオン飲料や、塩分と糖分が適度に含まれたスポーツ飲料水などで対応できる。一度にたくさんではなく、少しずつ頻繁に飲ませるのがポイント。吐いたものをのどに詰まらせないよう、横を向いて寝かせるなど工夫を。

熱性けいれん

 六カ月―四歳までの小児に見られる熱性けいれんは、熱の上がりかけによく起こる症状。白目をむいてけいれんすることもあり、親がパニック状態になってしまうことも。「生まれて初めて」の場合はすぐに受診した方が良いが、一、二分で止まり意識もはっきりしていれば大丈夫。くちびるが紫色になったり、繰り返す場合は救急外来へ。

急なせき込み

 重要な病気が隠れている場合があり注意が必要。「ゼーゼー」「ケン、ケン」と苦しそうにせき込み、声がかすれていたら気管支ぜんそくや急性喉頭(こうとう)炎を発症していることも。熱がなくてもこうした症状の場合は救急外来へ。

救急外来への注意

 狭い待合室に大人から子どもまであらゆる患者が集まるため、余計なウイルスをもらわないよう必ずマスクの着用を。また、寒い夜に外出すると症状が悪化することもあるので、症状を見極めた上での受診が望ましい。


大人編 適量自覚し飲酒を

 親族らと飲食の機会が多い年末年始。大人が気をつけたいのは、やはり酒の飲み過ぎ。岡山済生会総合病院(岡山市伊福町)の藤岡真一内科医長は「自分の適量を知った上で飲んで」と注意を呼び掛けている。

 飲酒で一番負担がかかるのは肝臓だ。アルコールを処理しようと懸命に働くからで、大量に飲み続けるとアルコール性肝炎、肝硬変へつながってしまう。普段と違い、ゆったり過ごす年末年始は特に注意が必要という。

 「一日中酒が飲める環境にある人もおり、その通りにしていたら肝臓が悲鳴を上げてしまう。朝と夜に飲むのであれば昼は我慢するなど、飲まない時間を意識的につくってほしい」と藤岡医長。

 適切な飲酒量は体質、その日の環境などによって違いもあるが、藤岡医長は「一般的に日本酒だと一日二合までが肝臓が疲れない飲み方。一合はビールは中瓶一本、ウイスキーだとシングル二杯、ワインはグラス四杯に相当する」と言う。「胃や食道の負担を和らげるためにも、アルコールと一緒につまみなどを食べることが大切。消化液が分泌され粘膜を守ってくれる」と付け加える。

 酔った状態で初詣でなど外に出掛ける際も注意したい点がある。

 「酒を飲むと血管が拡張し血行がよくなる半面、外へ出ると寒暖差で血管が急に収縮する。血圧が上がり、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)のリスクが高まるので、しっかり防寒して出掛けて」と指摘する。

 「こんな場合は救急外来を受診して」と言うのは、“飲んで吐いて”を繰り返すうちに出血するマロリーワイス症候群。吐いた物が食道を傷つけ、まれに大出血につながることも。

 大量のアルコールを短時間で飲むことで起こる急性アルコール中毒も注意が必要だ。

 「こん睡状態と嘔吐が主な症状で、安静にしていれば短時間で意識が戻るケースが多いが、重症なら死に至ることもある。苦しそうな息をしたり、なかなか意識が回復しない場合は病院で点滴や水分補給などを」

 藤岡医長は「お酒は体と相談しながら楽しく飲むことが大切。若い人もお年寄りも無理をせず、楽しい年末年始にしてほしい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年12月29日 更新)

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