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持続可能な地域医療へ「健康プロジェクト。」 倉敷・岡山の22機関が連携

病気の予防と健康維持をテーマにした講演会。参加者は70歳前後の倉敷市民が中心で、会場では健康や介護、栄養相談なども受け付けている=5月23日、倉敷市民会館

講演会の前には軽く体を動かして、楽しく笑顔で健康体操

 倉敷中央病院(倉敷市美和)をはじめとする倉敷、岡山市の22医療機関が連携し、市民と医療従事者が地域医療をともに考え、支えていこうという「わが街健康プロジェクト。」に取り組んでいる。急性期病院とかかりつけ医との役割分担を明確にし、持続可能な地域医療を確立するのが狙い。5月23日には第15回講演会が開かれた。

 プロジェクトの事務局によると、超高齢多死社会を背景とした救急患者の増加などにより、患者に適切な医療を提供できなくなる可能性があるという。こうした状況を防ぐため、急性期から回復期、在宅医療までの切れ目のない医療を地域全体で提供する「地域完結型医療」の整備が急がれている。市民にもその意義を理解してもらおうと、倉敷中央病院の呼びかけで2013年11月、急性期、回復期、リハビリ、在宅医療などを担う13医療機関でスタートした。

 医療機関と上手に付き合う▽病気の予防と健康維持▽倉敷をもっと好きになる―を活動テーマに、健康維持や地域医療などについての講演会を年4回、医療従事者を交えて地域医療を取り巻く課題を考えるサポーターズミーティングを年2回開いている。

 継続して参加してもらおうと、参加回数などに応じ、学ぶ段階の「ブロンズ」、地域医療を考える「ゴールド」、プロジェクトを広める「プラチナ」の3ランクによる認定サポーター制度を設けている。講演会に3回参加すればブロンズクラス。講演会に6回、ミーティングに2回参加すればゴールドクラス。さらに、ミーティングなどへの参加に加え、5人以上集めてプロジェクトを紹介し、レポートを提出するなどすればプラチナクラスに認定され、プロジェクトの広報活動を担ってもらう。

 5月23日に倉敷市民会館(倉敷市本町)で開かれた第15回講演会には約220人が参加。倉敷リバーサイド病院(同市鶴の浦)人工関節センター長の川口洋さんが「楽しく今を生きるために」、玉島中央病院(同市玉島阿賀崎)の健康運動指導士・影山尚也さんが「ウオーキングで健康づくり」と題して話した。

 この日の講演会でブロンズクラス12人、ゴールドクラス5人が認定され、ブロンズ・ゴールド認定サポーターは300人を超えて312人(ブロンズ217人、ゴールド95人)となった。事務局によると、プラチナ認定サポーターは11月の講演会で誕生する可能性があるという。

 23日を含めてこれまで講演会に12回、ミーティングには3回参加した、ゴールドクラスの小川瑞江さん(77)=倉敷市粒江=は「病気になったら家族が大変だから勉強しようと思って参加しています。毎回いろんなテーマで話を聞けて参考になります」と話していた。

 事務局の十河浩史さん(倉敷中央病院地域医療連携・広報部長)は「団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題を見据えて始めた事業。プロジェクトを通じて市民と医療従事者が高齢社会の現実に対する認識を共有し、課題解決に向けた協力関係を築いていきたい」と強調している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年06月05日 更新)

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