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岡山県内の中皮腫死者149人 アスベストが主原因か 1995ー2003年

 アスベスト(石綿)の健康被害が全国で問題になる中、アスベストが主な原因とされるがんの一種「中皮腫」による県内の死者が、一九九五~二〇〇三年の九年間で百四十九人に上ることが八日、分かった。

 アスベストが専門の岸本卓巳・岡山労災病院副院長は「中皮腫の死者の七割前後がアスベストが原因とみられる。労働者本人のほか一部に家族の可能性もある」としている。

 厚生労働省の毎年の「人口動態統計」によると、男性が百二十一人、女性二十八人。年別では〇三年の二十六人、次いで〇二年の二十五人が多かった。中皮腫は、臓器を包む膜にがんができる病気で、部位別では、胸膜が九十四人、腹膜が十三人などだった。

 一方、岡山労働局によると、九二~〇四年度の十三年間に、死者と療養者計四十六人をアスベストによる労災(中皮腫、肺がん)と認定していた。死者、療養者の内訳は調査中だが、〇〇~〇四年度の五年間では、認定三十五人のうち二十人が死者だった。

 「人口動態統計」と労災認定の死者数には開きがあるが、岸本副院長は「アスベストは四十年ともいわれる潜伏期間があり、退職後に発症する患者が多いため、仕事と病気の因果関係を認識しなかったり、医師も見落とすなどし申請に至らないケースが多いのでは」とみている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年07月09日 更新)

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