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肺腺がん患者に免疫療法臨床試験 川崎医科大病院が独自ワクチン

岡三喜男教授

 川崎医科大付属病院(倉敷市松島)呼吸器内科の岡三喜男教授らは、気管支の末梢(まっしょう)部分にできる肺腺がんが進行した患者に対し、同大が独自開発したワクチンを用いたがん免疫療法の臨床試験を近く始める。患者自身のがん細胞を攻撃する力を高めて、がんの進行を抑える治療法で、効果や安全性を確かめる。

 患者の免疫力が低下したり、がん細胞が免疫を抑制したりすると、がん細胞を攻撃できなくなる。免疫療法は免疫力を高めたり、免疫抑制を解除したりする治療法。

 岡教授らが始める免疫療法は、独自のワクチンを投与することで、弱った免疫細胞(リンパ球)を活発化させるやり方。患者9人を3グループに分け、ワクチンの量を変えて皮下注射。2週間に1度、計4回投与し、経過を観察する。

 ワクチンは、肺腺がんに特異的に現れる抗原「XAGE1」を構成するアミノ酸の一部を組み込んで独自に開発。XAGE1は肺腺がん患者の3~4割が持つとされ、これに対する免疫反応がある場合は生存期間が長くなることを、岡教授と川崎医科大の中山睿一客員教授(腫瘍免疫学)らのグループがこれまでに確認している。

 免疫療法には他に、「免疫チェックポイント阻害剤」と呼ばれる薬(オプジーボなど)を使って免疫抑制を解除する手法もあり、注目されている。岡教授は「独自ワクチンを用いた療法と組み合わせることで、より高い効果が見込まれる。ワクチンの有効性、安全性が確認できれば、将来は併用を検討したい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年06月25日 更新)

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