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サルナシ茶、大腸の前がん病変予防 マウス実験で効果確認

大腸の「前がん病変」の抑制効果が枝葉でも確認されたサルナシ=2016年8月

有元佐賀恵准教授

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の有元佐賀恵准教授(60)=遺伝毒性学=は、サルナシ茶に大腸がんの前段階である「前がん病変」を予防する効果があることをマウスによる実験で確認した。有元准教授は「大腸がんの発症を抑える効果も大いに期待できる」としており、岡山県内唯一の産地・新庄村は健康面での特性をアピールして特産品の魅力アップを目指す。

 実験は大腸がんを誘発させる物質を注射したマウス各5匹にサルナシ茶と水道水を飲ませ、7週間後に1匹当たりの前がん病変の平均発生数を比較した。その結果、サルナシ茶を飲ませたマウスは、水を飲ませた場合の半数以下に抑えられたという。

 「前がん病変で効果が見られたことで、大腸がんそのものにも抑制効果が期待できる」と有元准教授。今後、マウスの数を約3倍に増やして前がん病変の実験データの精度を高めるとともに、大腸がんに対する効果も調べる。

 大腸がんは、果物などを摂取することで発がんリスクを抑えられるとされる。有元准教授は2013年にサルナシの果汁に大腸がんの前がん病変の抑制効果があると確認したことから、枝葉を使用する茶にも同様の効果があるとみて昨年6月に研究を始めた。

 新庄村にはサルナシの自生地があり、村が02年から栽培を奨励。現在は農家など19戸1団体でつくる村サルナシ栽培研究会が約1・36ヘクタールで植栽し、生食用などに販売している。

 小倉博俊村長は「実だけでなく枝葉にも健康効果があることが判明し、サルナシ全体の価値を高める成果を得た。生産拡大や加工品のラインアップ拡充を支援し、特産品化に弾みをつけたい」と話す。

 サルナシ マタタビ科でキウイの原種とされる。山岳地帯に自生し、果実は直径2~3センチの緑色。ビタミンCが豊富で、滋養強壮効果があるという。新庄村では例年8月下旬から9月上旬に収穫される。有元佐賀恵准教授は2010年に村の依頼で研究に着手。果汁については12年に皮膚がん、13年に大腸がんの前がん病変、14年に肺がん、16年に放射線障害の抑制効果を公表している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年08月20日 更新)

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