文字 

岡山労災病院 岸本氏に松岡良明賞 中皮腫に関する研究・治療に尽力

松田理事長から賞を贈呈される岸本氏(左)

 がん征圧月間(9月)に合わせ、がん撲滅に功績のあった個人、団体をたたえる第22回「松岡良明賞」の贈呈式が8日、岡山市北区柳町の山陽新聞社であり、岡山労災病院(同市南区築港緑町)副院長の岸本卓巳氏(64)=同市=が表彰された。

 山陽新聞社会事業団の松田正己理事長が表彰状と賞金100万円を手渡した。岸本氏は「研究、診察を始めて30年の節目に賞をいただき、光栄」と謝辞を述べ、国が本年度中に、アスベスト(石綿)関連疾患の研究拠点を同病院内に設ける予定であることを踏まえ「若い先生方と一緒に、今後も全力を尽くしたい」と話した。

 岸本氏は、石綿の吸引で起きる悪性がんの一種、中皮腫に関する研究・治療に尽力。計500例以上を診察し、中皮腫の診断基準や石綿肺がんの認定基準の策定に携わってきた。石綿による健康被害が社会問題化した2005年には厚生労働省研究班代表として全国調査を指揮。中皮腫患者の7割以上に石綿の影響があったと初めて明らかにした。

 09年からは、労災対象外となった周辺住民らの被害を検討する国の判定医として患者の救済を進めた。近年はモンゴルや中国にも赴き、診断技術の普及などに努めている。

 賞は山陽新聞社の元社長、故松岡良明氏の遺族から寄託された基金をもとに創設。佐々木勝美相談役が1千万円を寄託し、増額された。受賞者・団体は岡山県健康づくり財団が選考し、同事業団が決定している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年09月08日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ