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妊娠、出産の疑問 食事や飲酒、喫煙…何が有害? 岡山で本紙医療セミナー 

妊娠前の心得について話す久慈講師。赤ちゃんを望むカップルらが聴き入った

 赤ちゃんを望むカップルの疑問に答えようと、「妊娠前から知っておきたいこと」と題して「第7回山陽新聞医療セミナー」が岡山市奉還町の岡山国際交流センターで開かれた。慶応大医学部の久慈直昭講師(不妊治療、体外受精)が食事や飲酒、喫煙などが胎児に与える影響について講演した。

 「妊娠中も薬を飲んでいいの?」「お酒は少しなら大丈夫?」。久慈講師のもとには妊娠、出産中の過ごし方に関する疑問や不安が日々寄せられる。あやふやな情報に戸惑う人も多いだけに、「赤ちゃんに何が有害なのかを理解し、いざ妊娠したときに不安にならないようにしてほしい」と力を込める。

 妊娠中の栄養素の摂取について、「妊娠初期のビタミンAの取りすぎは、胎児異常を起こす危険がある」と言う。注意するのがウナギやレバーに含まれる動物性のビタミンAで、毎日食べるのは良くない。一方、ニンジンなどに含まれる植物性のカロチンはいくら食べてもOKだ。

 ホウレンソウやカボチャなどに含まれる葉酸は、妊娠前から取っておくと赤ちゃんの神経系の障害発生率が下がるといい、普段から積極的に口にしたい栄養素の一つ。カルシウムや食物繊維も取ると良い。

 胎児への悪影響が指摘される酒とたばこだが、実際はどうか。久慈講師はフィンランドの研究を紹介。酒を出産まで飲み続けた人は、妊娠から十四週以内に禁酒した人に比べ、赤ちゃんの生後二十七カ月の発育や言語能力に遅れがあったというデータを報告した。

 たばこは血管の収縮作用で、子宮の血流が減るとされる。血管が狭まることで、赤ちゃんが腹壁破裂などを起こす確率が高くなる。妊娠中の酒、たばこは控えた方がよい。

 日常よく飲む頭痛薬に不安を持つ女性も多いというが、「頭痛薬で胎児に悪影響があった例は、個人的には記憶にない」と久慈講師。しかし胃薬や睡眠薬の中には、妊娠中は避けた方がよい成分もあるとして、医師への相談を勧めた。

 感染症で心配なのが、トキソプラズマと風疹(ふうしん)。トキソプラズマは寄生虫の一種で、妊娠初期に感染すると、赤ちゃんが目の病気を持って生まれることがある。風疹も、出生児に白内障や心疾患など先天性の風疹症候群が発症する場合がある。妊娠前に抗体検査やワクチン接種をしておくと安心だ。

 「妊娠前にしておくといいこと、してもしなくても変わらないこと、妊娠してからやめればいいこととある」と久慈講師。「しっかり見極めて、健やかな赤ちゃんを授かって」と呼び掛けた。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年03月29日 更新)

タグ: 健康お産

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