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小坂淳夫さん 関係者から悼む声次々 内科医の理想像 岡山大発展の礎築いた

在りし日の小坂淳夫さん

 十七日死去した元岡山大学長で、岡山県立大の初代学長を務めた小坂淳夫(きよお)さんは、教育振興の推進や研究面で優れた業績を残した。関係者からは死を悼む声が相次いだ。

 肝臓の細胞が大量に壊される「劇症肝炎」を突き止め、診断基準と治療法研究に力を注いだ。「世界に岡山大医学部第一内科の力を示した」と振り返るのは、岡山大名誉教授で藤田病院(岡山市)院長の辻孝夫さん(68)。「長年指導していただいたが、臨床面でも妥協がなかった。内科医の理想像を教わった」と話す。

 岡山大学長(一九七五―八一年)時代には、歯学、薬学部の創設に尽力。薬学部長の木村聰城郎さん(61)は「岡山大発展の礎を築かれた。もっとアドバイスもいただきたかった」。

 大学入試センター所長を務めた後、一九八五年、重井医学研究所付属病院長に就任。瀧正史院長(60)は「着任当初から病診連携を推進し、医師会と勉強会を始めるなど地域医療の向上に取り組まれた」と振り返る。

 岡山県立大学長時代に事務局長だった山本光徳さん(64)は「開学当初から大学院設置に情熱を注がれた。本当に誠実な人柄で部下にも対等な立場で接してくれた。残念です」と話す。

 六十年の親交があった元岡山県医師会長の永瀬正己さん(90)は「一歳年下だが、立派な方で尊敬していた。人間としてのおおらかさがあり、いろんな意見を受け入れる包容力があった。いつまでも元気でいてほしかった」と声を落とした。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年07月20日 更新)

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