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慈愛の人、良寛-その生涯と書 岡山旭東病院院長 土井章弘

 日曜日(平成29年10月8日)に岡山県立美術館で開催されている「慈愛の人」良寛の書を観に行ってきた。良寛コレクター秘蔵の作品を中心として150点を観ることができる。

 良寛(1758~1831)は、詩歌・書に優れた托鉢僧で、越後(新潟県)出雲崎生まれ、同地を訪れた備中(岡山県)玉島円通寺の国仙和尚に従って、同寺に入り、10年余りの修業ののちに諸国を行脚して帰郷する。生涯寺を持たず、名利にとらわれぬ生活を送り、清貧のなかで、すべてのいけるものへの愛を失わず、子供と手毬をつき、おはじきに興じ、近隣の友や親族との交流を深め、和歌や漢詩を詠み、良寛の独特の軽妙な書を多く残している。展示されている書画から、清貧に生きた良寛の日常を感じることができる。

 良寛の一生は、権力を持つこともなく、商売をしてお金を儲けるでなく、宗教教団での栄達も求めず、寺の僧侶にもならず、托鉢僧としてひたすら禅の修行僧として、生命を燃やして、生涯を終えている。

 人生の成功は、政治や経済界で権力を握る、学者として名をあげるなどの価値観があるが、良寛の清貧の生き方は、生命の絆が薄れて行く時代、人間の幸せとは何か、心とは何か、平和とは何か、良寛の生き方から学ぶべきものは大きい。

 この里に手毬つきつつ子どもらと 遊ぶ春日は暮れずともよし

 うずみ火にさしくべて臥せれども こよいの寒さ腹にとほりぬ

 欲無かければ一切足り  無欲一切足
 求むる有りて万事窮す  有求万事窮

 むらぎもの心楽しも春の日に 鳥のむらがり遊ぶを見れば-

 形見とて何残すらむ春は花 夏ほととぎす秋は紅葉ば

参考文献
①「良寛に生きて死す」 中野孝次著 考古堂書店
②「慈愛の人良寛 ― その生涯と書」展覧会 パンフレット 岡山県立美術館
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年10月12日 更新)

タグ: 岡山旭東病院

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