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臓器移植法20年 ドナー不足不変 岡山では132例実施

岡山大病院で行われた1例目の脳死肺移植=2002年1月(同病院提供)

 脳死と判定された人からの臓器提供を認めた臓器移植法が16日、施行20年を迎える。9月末までに全国で477人から提供があり、2千を超える臓器が移植された。岡山県内では岡山大病院(岡山市)での肺移植手術を中心に132例を数える。命をつなぐ医療として地道に実績を重ねてきた一方で、ドナー(臓器提供者)不足は深刻なまま。提供病院の体制整備の遅れなど課題は山積している。

 臓器を提供する場合に限り「脳死は人の死」とする新たな死の概念を法律で規定した臓器移植法は、宗教者や哲学者らをも巻き込んだ激論の末、1997年に誕生した。

 初適用は99年2月。高知赤十字病院に入院中の40歳代女性が脳死と判定され、心臓、肝臓、腎臓が大阪大病院などで移植された。

 扉が開かれたことで、脳死移植は国内でも定着していくかと思われたが、提供件数はしばらく、年間10件前後にとどまった。このため、岡山県内で1例目の移植手術が行われたのは法施行から4年余り経過した2002年1月。岡山大病院での肺移植だった。

 ハードルとなっていたのは、ドナー判定のための厳格な条件だ。当初は生前に書面で意思表示した人に限られていた。10年の法改正で本人の意思が不明でも家族の承諾があれば可能となり、同時に15歳未満も提供できるようにした。同年から提供は年30件以上に増え、16年は過去最多の64件に上った。

■腎臓待機14年超

 提供数は増加傾向にあるものの、「圧倒的な臓器不足」(医療関係者)に変わりはない。

 日本臓器移植ネットワーク(東京)によると、移植を待つ待機患者(8月末現在)は腎臓1万2385人、心臓633人、肺337人など計約1万4千人に上る。平均待機期間は腎臓で14年を超え、他の臓器でも5年以上は少なくない。

 脳死ドナーからの提供を待つ時間がない患者のために、国内では近親者から肺や肝臓の提供を受ける生体移植が普及。本来は緊急避難的な措置が移植医療のもう一つの柱となっている。

 県内では法施行前の92年、国立岡山病院(現国立病院機構岡山医療センター、岡山市)が大学付属ではない一般病院として初めて生体肝移植を実施した。98年には岡山大病院が国内初の肺移植に踏み切った。

 提供臓器の不足を技術でカバーする例もある。岡山大病院臓器移植医療センター長の大藤剛宏教授は、子どもの患者を救うため、本来ならサイズが適合しない大人の肺の一部を使う生体移植や、脳死した人の肺と生体肺を使う「ハイブリッド肺移植」など世界初となる手術を成功させてきた。

■体制整備に遅れ

 提供病院の体制整備の遅れもいまだ課題として横たわる。大学病院や救急救命センターなど、脳死下で臓器を提供できるのは全国896カ所(3月末現在)。そのうち、成人・子どものいずれについても「体制が整っている」と回答したのは3割(269施設)で、県内では11施設中7施設に限られる。

 岡山県臓器バンクの田中信一郎理事長は「全国の事例では臓器を提供したいと考えても、運ばれた病院によっては意思が生かされない現状がある」と指摘。「本人の意思を尊重するという法律理念を実践するためにも、医療機関の体制強化など、20年を契機に移植医療全体を見直していくことが重要だ」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年10月15日 更新)

タグ: 岡山大学病院

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