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倉敷市が病院支援の応急給水訓練 大規模断水想定、EMISを活用

病院の屋外受水槽に給水する車両

EMISで各病院のライフラインの状況を確認する参加者

 南海トラフ巨大地震などに伴う大規模断水に備え、倉敷市は19日、人工透析治療や入院患者の生活で多量の水を必要とする市内の病院を支援するための応急給水訓練を行った。市の水道局や保健所、病院関係者をはじめ、岡山、高梁市など県内17市町と4水道企業団の応援部隊を含む総勢約100人が参加し、対応手順を確認した。

 水や電気といったライフラインの供給状況などについて病院が自治体に発信する「広域災害救急医療情報システム(EMIS)」を活用した。倉敷市によると、EMISを使えば災害時の情報収集や発信が効率化でき、迅速な対応が可能になる。EMISは阪神淡路大震災(1995年)を機に開発され、給水作業を伴う運用訓練は全国初という。

 訓練は倉敷市で震度5強の揺れを観測し、市内の配水池に被害が出て断水状態に陥った―との想定で行った。市水道局が市役所に災害対策本部を設置した上で市内約90カ所の配水池の被害状況を確認し、日本水道協会県支部を通じて他自治体などへ応援を要請。EMISを活用して情報収集に当たる市保健所から、給水支援を必要とする計11病院の住所などを聞き取り、出動態勢を整えた。

 連絡を受け、市水道局の基幹拠点・片島浄水場(同市片島町)に市内外の給水車13台が集合。無事が確認された近くの配水池などで水をくみ取り、各病院の屋外受水槽へホースで給水した。

 訓練の指揮を執った市水道局の大野雅弘参事は「大規模災害発生への危機感は強い。訓練結果を検証して有事に備える」と話した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年10月19日 更新)

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