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前立腺がん新遺伝子治療 臨床試験を申請 岡山大病院泌尿器科

 岡山大病院泌尿器科(公文裕巳教授)は一日、前立腺がんに対する新しい遺伝子治療の臨床試験実施を同病院に申請した。がん細胞を自滅に追い込むとともに免疫力を高める遺伝子「REIC(レイク)」の効果をヒトで確かめる。学内で承認後に国へ申請、二年以内の実施を目指す。

 REICは二〇〇〇年に同大が発見。正常な細胞には影響せず、がん細胞のみを選んで細胞死(アポトーシス)させる働きがある。

 マウス実験で前立腺がんに注入した五匹中四匹でがんが消滅、残り一匹も大幅に縮小した。肺へ遠隔転移したケースでも肺の病巣が小さくなり、全身の免疫力を高めていることを確認した。

 実施計画によると、他に治療法がない患者二十一―三十六人が対象。REICを患部への運び役となる「アデノウイルス」に組み込んだ薬剤を四週間ごとに三回、患部に注入する。同大発のベンチャー企業「桃太郎源」が薬剤の開発を担う。

 同科はこのほか、免疫力を高める体内物質「インターロイキン12」の臨床試験も計画。既に国の承認を得ており十三日に第一例を実施、今回の遺伝子治療の比較データに使う。

 公文教授は「REICは中皮腫や肝臓がんなど広範ながんで抑制効果が期待できる。前立腺がんでの臨床試験をその第一歩にしたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年05月02日 更新)

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