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児童集団搬送 要因は体育館環境か 岡山・市民病院救急センター長に聞く

児童が体調不良となった原因を推察する桐山救急センター長

 岡山市立福田小(同市南区古新田)で1日、合唱の練習をしていた6年生が過呼吸などの症状を相次ぎ訴え、練習を中止して教室に戻った児童を含め計25人が病院に運ばれた。いずれも軽症にとどまり事なきを得たが、集団的な体調不良はなぜ起きたのだろうか。児童を診察した市立市民病院(同市北区北長瀬表町)の桐山英樹救急センター長(48)に聞いた。

 ―市民病院には児童のうち5人が搬送された。当時の様子は。

 いずれも気分の不良を訴え、うち何人かは呼吸が速く、深くなる過呼吸が原因とみられる手足のしびれがあった。合唱の練習をしていた体育館では、最初の何人かが実際に気分が悪くなって倒れたのだろうが、その姿を見て不安で過呼吸になった子もいるはずだ。これは心理的な作用だろう。

 ―体育館では当日、全校児童が不審者対応訓練に取り組んだ後、6年生111人が引き続き、学習発表会に備えて合唱の練習に臨んだ。

 学校や診察した児童の話から、体調不良は環境要因が大きかったと推察している。体育館は窓を閉め切るなどしていたため、熱がこもっていたようだ。衣替えでこの日、児童が冬用の制服を着始めたことや給食前の空腹が影響した可能性もある。訓練後の休憩時間に水を飲んでいなかった子には脱水症状があったかもしれない。

 ―再発防止に向け、教訓とすべき点は。

 今回のケースでは換気と水分補給、教員による児童への十分な観察が必要だったと言える。体調不良で(体育館内に設けた)ひな壇から落ちた児童もいたと聞いており、高い場所で活動する際の安全に対する配慮の必要性が改めて示された。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年11月10日 更新)

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