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御津医師会 入院先迅速確保で成果 12病院と連携 在宅医療不安解消

 「ときどき入院、ほぼ在宅」を理念に掲げて、岡山市の御津医師会が進めている近隣の病院とのネットワークづくりが成果を上げている。自宅で療養している高齢患者の容体が悪化した時に速やかに入院先を確保する県内に先駆けた取り組み。組織に加入する病院が増えてほぼ全てのケースで入院先が見つかっており、病院を見つけるまでの時間も短縮されている。

 高齢者は、糖尿病や腎不全、圧迫骨折など複数の病気を抱えている人が多く、治療を担う診療科が特定できないことや、入院が長期化する恐れがあるため、受け入れ先を見つけるのが難しいことが多いという。

 こうした問題を解決するため、御津医師会は2015年4月、岡山市内の7病院の協力を得て、ネットワークの運用をスタート。医師会のスタッフらがかかりつけ医と病院とを仲介し、容体や病院のベッドの空き状況を双方から聞き取り、搬送先を決める。

 ネットワークに加入する病院は現在、12に増えた。総合病院が増えた上、心臓疾患の治療実績が高い病院、認知症治療が得意な病院などが加わり、集中治療からリハビリまで、専門的な治療ができる体制が整った。かかりつけ医と病院の医師は毎月、患者の診療経過や退院後の生活の状況について意見交換している。

 15、16年度のかかりつけ医からの依頼は計217件。うち、入院できたのが190件と約9割を占め、入院が必要なほぼ全てのケースでスムーズに受け入れ先が見つかった。入院先を見つけるのに要した時間も平均約30分で、かかりつけ医が探していた時に比べて半分程度に短縮された。

 次のステップとして、介護職と連携して退院後の支援にも乗り出している。

 医師や看護師、歯科医師、ケアマネジャーらによる新たなネットワークを昨秋立ち上げた。これまでに4回の会合を開き、患者の希望に反して入院が長引いたり、退院後に速やかな介護サービスにつなげられなかったりしたケースについて、原因や改善点を分析している。退院後の医療と介護サービスを多職種で話し合えるようにするのが目的という。

 御津医師会の大橋基会長は「多職種の人たちが患者の人生観を共有し、質の高い在宅医療を提供したい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年11月19日 更新)

タグ: 医療・話題

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