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玉野市民病院 赤字縮小1.1億円 16年度決算 累積赤字は42.3億円

2016年度決算の赤字額は縮小したものの、42億円を超える累積赤字を抱える市民病院

 玉野市は市民病院の2016年度事業会計決算をまとめた。赤字額は1億1657万円。入院患者数の増加などで医業収益が改善し、前年度より1億5606万円縮小した。医療法人平成博愛会(徳島市)との業務提携は初年度から一定の成果を挙げた形だが、黒字転換には至らず、累積赤字は42億3122万円に膨らんだ。

 事業収益は前年度より2億2490万円多い21億6369万円。3年ぶりに20億円台を回復した。事業費用は6883万円多い22億8026万円だった。

 診療報酬など事業収益の約8割を占める医業収益は1億3364万円増の16億4461万円。このうち入院収益が1億531万円増の9億6058万円、外来収益は1412万円増の5億9万円だった。医業費用(人件費、薬品代など)は医師の数を増やしたため、7172万円増の20億8431万円となった。

 医業収益から医業費用を引くと、4億3969万円のマイナス。この数字が医業損失となるが、損失額は前年度より6192万円改善した。医業部分の損失を補填(ほてん)するため、市の一般会計から3億9441万円を繰り入れたが、赤字は解消できなかった。

 地方公営企業の会計制度見直し(14年度)により、将来の職員の退職金などを準備することが義務化された影響で、16年度も前年度と同額の1億3742万円の特別損失を計上。同様の措置は18年度まで継続する。

 1年間の延べ患者数は、入院が前年度比2830人増の3万4622人。病床利用率は47・7%と、4・1ポイント改善したが、黒字確保の目安とされる70%は大きく下回ったまま。外来は716人減の5万5699人だったが、患者1人当たりの診療単価が増えたため外来収益の悪化にはつながらなかった。

 市は16年2月、平成博愛会と「地域医療改革の推進のための包括協定」(16~18年度)を締結。リハビリ患者の毎日受け入れなど経営改革を進め、20年度の黒字化を目指し、21年度中の新病院開院を計画する。市民病院は「病床利用率などは17年度も改善傾向にある。市民ニーズを把握しながら、病床の機能の見直しなど一層の経営健全化に取り組む」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年11月21日 更新)

タグ: 医療・話題

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