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卵子や精子の凍結保存に助成を 医師らがん患者支援で県に陳情へ

 岡山県内の医師や看護師らでつくる「がんと生殖医療ネットワークOKAYAMA」(代表・中塚幹也岡山大大学院教授)は、自費診療となっている卵子・卵巣、精子の凍結保存に対する公的助成を求めている。生殖機能が低下する可能性のあるがん治療を受けた患者が、将来子どもを持つために凍結保存を希望しても、経済的な負担が重荷になっているからだ。同ネットワークは近く、県に陳情書を提出する。

 卵子や精子は抗がん剤や放射線治療で死滅する恐れがある。凍結保存は現在、保険適用外の自費診療。費用は卵子で20万~40万円、卵巣は50万~70万円程度、精子は数万円といい、同ネットワークは「がんの治療費も必要なため、経済的負担から凍結保存を断念する例は少なくない」と指摘する。

 40歳未満で新たにがんと診断される患者は国内で毎年約2万3千人と推計される。中塚教授が昨年、がん治療に携わる県内の医師や看護師、助産師ら795人に調査した結果、凍結保存への公的支援は、卵子について96%、精子は95・9%が「必要」と回答した。

 滋賀県では2016年度から助成をスタート。43歳未満を対象に男性2万円、女性10万円を助成しており、16年度は男女9人の利用があった。

 同ネットワークでは県内で助成制度が導入された場合、年間20件程度の利用があるとみている。中塚教授は「がん患者とその家族にとっては切実な問題。支援の手を差し伸べてほしい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年11月30日 更新)

タグ: がんお産岡山大学病院

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