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湯浅総料理長と坂本教授が糖尿病食レシピ考案

考案した糖尿病食を調理実演する湯浅薫男総料理長(左)と坂本八千代教授

(写真上から)ピーチポークのやわらかソテー ポン酢風味、野菜たっぷりもち麦リゾット、桃のソルベ

 病院とサービス付き高齢者向け住宅を併設した倉敷スイートタウン(倉敷市中庄)の湯浅薫男総料理長と、くらしき作陽大学食文化学部の坂本八千代教授(管理栄養士)が、糖尿病食のレシピを考案した。「味気ない」「手間がかかる」などマイナスイメージで語られることも多い糖尿病食だが、2人は栄養面で療養に配慮しながら食材や味付けを工夫し、「家庭でも手軽に作れ、食べる楽しみも満喫できる。参考にしてほしい」と呼び掛けている。

 11月11日、岡山市で開かれた糖尿病県民公開講座(日本糖尿病学会中国四国地方会第55回総会主催)で2人が調理実演したのは、「岡山県産ピーチポークのやわらかソテー ポン酢風味」「野菜たっぷりもち麦リゾット」「桃のソルベ」の3品。

 特徴は、筋肉量の確保に欠かせない肉や魚介、卵、大豆といったタンパク質を積極的に取れるようにしたこと。筋肉は糖代謝に重要な働きをするが、加齢とともに衰える。カロリーを抑えようとしてタンパク質不足に陥れば、特に高齢者で筋肉量の減少による身体機能の低下(サルコペニア)を招きかねない。さらに、野菜やもち麦などの食物繊維は血糖値の急上昇を防ぎ、食材のうまみを生かして減塩も図った。

 ソテーの調理は、あらかじめ豚ロース肉の脂身をカットし、炭酸水に20分以上漬け込んでおくのがポイント。「ふっくらと軟らかく仕上がり、高齢者でも食べやすくなる」という。塩、コショウをし、かたくり粉をまぶして卵をくぐらせ、オリーブ油で焼き上げる。さまざまな料理に使える特製ブイヨン=作り方参照=と千切りショウガ、ゆずポン酢、レモン果汁で味にアクセントをつける。

 リゾットは7~8ミリ大に切った野菜、キノコ、エビをオリーブ油で炒め、もち麦入りご飯とともに特製ブイヨンで煮る。豆乳、みそ、チーズでバランスのよい味に仕立て、サフランとコショウをお好みで。

 冷たいデザートのソルベは、ラップした桃をレンジ(700ワットで5~7分)にかけ、皮をむいて凍らせるだけ。少量ずつ味わえば、血糖値のコントロールにもつながるそうだ。

 会場ではできたての料理が振る舞われ、講座参加者は食材本来のうまみを確かめながら味わっていた。

特製ブイヨン

【材料】
水3リットル、昆布30グラム、A(タマネギ、長ネギ各200グラム、白菜、キャベツ各150グラム、ニンジン100グラム、セロリ50グラム)、干しシイタケ3個、切り干し大根30グラム
【作り方】
(1)あらかじめAを乾燥させておく
(2)容器に水を入れ、材料を加える
(3)30分ほど煮る
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年12月04日 更新)

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