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小児糖尿病負けないぞ 30回目のサマーキャンプ  赤磐で18人 注射や検査、自立策学ぶ

小児糖尿病サマーキャンプでHANZOさんの歌声に聞き入る子どもたち

 小児糖尿病と闘う子どもたちを対象に、岡山県内で開くサマーキャンプが三十回目を迎えた。今夏は二十四日から二十九日までの日程で、赤磐市小鎌の布都美(ふつみ)林間学校を拠点に実施。子ども同士が励まし合いながら血糖値測定やインスリン注射の技術などを学び、精神的な不安解消や自立に向けて取り組んでいる。

 小児糖尿病は1型糖尿病とも呼ばれ、膵臓(すいぞう)でインスリンホルモンをつくれなくなる病気。日本では十万人に一、二人の確率で発症するとされ、厚生労働省指定の小児慢性特定疾患。一日に数回の血糖値測定とインスリン注射が欠かせず、子どもにとって精神的負担が大きいという。インスリンの働きが弱まる生活習慣病としての2型とは異なる。

 キャンプは岡山小児糖尿病協会(事務局・岡山赤十字病院)が主催。ストレスを感じる子どもたちを元気づけ、検査や注射の正しい使い方や食事の取り方など自分で血糖コントロールができるようにと、一九七七年以降、一年を除き毎年一回開催している。

 今回は岡山県内と福山市の小学一年から高校三年までの十八人と、学生ボランティアや医療スタッフら計百人が参加。五泊六日で同林間学校に寝泊まりしながら糖尿病教室や栄養指導のほか、魚釣りや海水浴など自然と触れ合う催しもある。

 「糖尿病のおかげで歌手になれた」「近い将来、必ず治る。それまでのお付き合いだから」。二十五日には林間学校の一室で、六年前に1型糖尿病を発症したシンガーソングライターHANZO(はんぞう)さん(40)=島根県出身=が子どもたちに体験談を語りかけた。夢や希望を与えたいとボランティアでミニライブを初めて開催。三十回目の記念イベントとなった。

 「僕も病気に負けず、頑張りたいと思った」と三度目の参加となる岡山市・古都小五年矢部孝直君(10)。母の真由美さん(40)は「息子自身、病気でストレスを感じることもある。HANZOさんのように生きがいを見つけられるよう支えたい」と言い、キャンプ生活で新たな友達や自信を得る子どもも多いという。

 岡山小児糖尿病協会の古谷啓太郎会長は「進学や就職、結婚など将来に不安を抱えている子どももいる。私たちの活動を通じて、地域や教育現場などで病気についての理解が広がり、偏見がなくなれば」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年07月28日 更新)

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