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岡山県内で猛威振るうインフル 寒波でAB同時流行が要因か

 今冬、インフルエンザが猛威を振るっている。岡山県内の学校園の延べ患者数は昨シーズン同期と比べ、3千人近く上回っている。専門家は寒波の影響とともに、B型の流行が例年より早まっていることを理由に挙げる。感染の拡大に歯止めをかけるため、県や医療機関は「体調に異変を感じれば早めに医療機関を受診して」と呼び掛けている。

 県の定点調査による患者数は、1月第3週に今季最多の42・96人を記録。同時期の患者数では過去10年間で2番目に多く、翌週も40人を超えた。1週当たりの患者数が40人超を記録したシーズンは2007年以降、新型が流行した09年など3回だけ。学校園の患者数は7日現在延べ1万2169人で、昨季同期(9303人)を上回っている。県は1月下旬、インフルエンザ警報を発令した。

 岡山済生会総合病院(岡山市)の田中弘之診療部長は、患者が増えている理由を「今冬の厳しい冷え込み」とみる。主に飛沫(ひまつ)感染するため、「寒さが続くと屋内で過ごす時間が増え、同じ空間に患者がいれば感染の可能性は高まる。エアコンなどで空気が乾燥すると、ウイルスが飛散しやすくなる」と説明する。

 異なるウイルスの同時流行も一因とされる。県環境保健センターによると、1月末までのウイルス検出状況は、09年に新型として大流行したA型が71%、B型19%、A香港型10%。B型は例年2月以降に患者が増えるが、今冬は昨年12月中旬から流行している。

 同病院ではB型患者の受診が例年の約5倍という。流行が早まった理由は不明だが、田中部長は「予防接種をしてもB型の抗体はできにくいとされる」と言う。

 38度以上の発熱や頭痛、関節痛などの症状が出にくい「隠れインフル」にも注意が必要だ。感染を疑うサインが弱いだけに、知らないうちに拡大させる恐れがある。「高熱が出なくても、全身がだるい、何となく体調が悪いと感じられるなら早めの受診を」と田中部長。流行を抑えるため、県健康推進課は「手洗いやマスクの着用、室内の加湿などを心掛けてほしい」と予防の徹底を求めている。

 インフルエンザの定点調査 国立感染症研究所の感染症発生動向調査の一環として都道府県で実施。県内では内科・小児科84医療機関が定点に指定され、1週間の患者数を集計、平均化した数値を算出する。1人を超えると注意報、30人を超えると警報が発令される。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年02月08日 更新)

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