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(3)患者講習会の取り組み チクバ外科・胃腸科・肛門科病院栄養課管理栄養士 木村昭子

医療スタッフと患者さんたちの交流の場にもなっている料理講習会

患者さん自ら病気の体験を語っている講演会

木村昭子栄養課管理栄養士 

 当院には、潰瘍性大腸炎・クローン病患者さんに特化した炎症性腸疾患(IBD)チームがあります。そのチーム内で、患者さんのために何かできないかと考えて始めたのが、患者講習会でした。今回は、この取り組みについてお話したいと思います。

 患者講習会は大きく分けて、(1)料理講習会(2)医師の講義(3)患者講演会―の三つの形で開いています。これまでのテーマをにまとめました。

 まず、料理講習会の特徴としては、通常は脂質が多くなる料理でも工夫して、IBD患者さん向けの低脂質になるように、レシピを作成していることです。病気だからといって食べる楽しみを諦めてほしくない、できるだけ周りの人と同じ物を食べてほしい―という思いで、当院の調理長が中心となり、調理師・栄養士が協力し、試作を繰り返しながらレシピを完成させています。

 また、患者さんに調理のポイントを知ってもらい、実際に調理して試食しています。医師も毎回参加し、患者さんと一緒にエプロンをつけて料理を作っています。普段の診療では医師とゆっくり話す時間が取れず、話しづらいと悩んでいる患者さんも、一緒に調理し、会食するうちに、和気あいあいとした雰囲気になり、いつも時間いっぱいまで話が尽きません。他の患者さんと知り合いになり、お互いの悩みを相談できるなど、患者さん同士の交流の場ともなっています。

 医師の講義では、IBDについて、患者さん向けの最新の情報が聞けます。基礎的な病気の話から最新の治療や薬まで、分かりやすく話してもらえます。参加した患者さんは真剣にメモを取り、多くの方が手を挙げて質問されます。

 また、講義後に手作りの低脂肪おやつとレシピを配布し、作り方などを説明しています。医師に悩みを相談したり、いつもの診察では聞けなかったことを尋ねたり、有益な場となっています。

 患者講演会では、潰瘍性大腸炎またはクローン病の患者さんに、自分の体験を中心に話していただきます。気持ちの変化や病気との向き合い方、病気を通して感じたこと、栄養療法の重要性など、体験者ならではの内容となっています。参加者からは「実際の患者さんの話なので、すっと心に入ってきた」「闘病の励みになった」―などの声をいただいています。

 最後に、これらの患者講習会に参加された患者さんの感想を紹介したいと思います。アンケートによると、年齢は10代から70代まで幅広く、病歴も1年から20年とさまざまです。毎回9割以上の方が、参加してよかった、次回も参加したい―と回答してくださっています。

 「家族やスタッフと交流できてよかった」「年の近い相談相手が見つかった」「同じ病気の人と出会って心強かった」「今度は自分が同じ病気の人たちのために何かしたいという気持ちになった」―などのお言葉をいただき、私たちも毎回、活動の励みとなっています。

 患者さんが病気と付き合っていくための情報提供や交流の場として、今後も、少しでもお役に立てるような患者講習会にしていきたいと思っています。

     ◇

 チクバ外科・胃腸科・肛門科病院(086―485―1755)

 きむら・あきこ 玉野光南高校、岡山学院大学卒。管理栄養士。2012年よりチクバ外科・胃腸科・肛門科病院勤務。NST(栄養サポートチーム)専門療法士。病態栄養専門管理栄養士。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年02月19日 更新)

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