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(3)在宅チームケア 瀬戸ライフサポートセンター笠岡第一病院いこい指定居宅介護支援事業所 主任介護支援専門員 金川潤子

金川潤子主任介護支援専門員

 在宅療養の現場では、訪問診療、訪問看護、訪問リハビリ、ケアマネジャーなど、さまざまな役割ごとに専門職が関わり、連携して利用者やご家族にサービスを提供することが求められます。関わる専門職がそれぞれ、ばらばらの方法で支援するのでは、その人らしい生活に近づくことは難しいと思います。

 ある介護者の方は「介護は一人ではできません。関わる人がそれぞれ違う目標に向かって進んでも良い方向にはいかない。みんなが同じ目標に向かって進むことで状態が良くなり、ベストな状況になると思う」とおっしゃいました。

 利用者は在宅生活に不安を感じたり、病気などにより、急に今までの生活を送ることが困難となったりして、支援を必要とされる方がおられます。一人暮らし、夫婦2人で生活している高齢の方もおられ、介護する側も加齢により心身の機能が低下している方が多く、高齢者同士による「老老介護」、認知症同士による「認認介護」という言葉も聞かれる現状です。

 利用者のご家族の中には、遠方に住んでいて、利用者の日常の様子が分かりにくく、心配されている方もおられます。私たちは利用者・ご家族の状況に応じ、安心して生活できるよう、その方に合った必要な支援を考えています。

 瀬戸ライフサポートセンターでは、利用者が病院を退院される時、施設を退所して自宅に帰られる時に、多くの専門職(医師、看護師、理学療法士などのリハビリ職員、介護福祉士、管理栄養士など)がチームを組みます。チームは、看護師やヘルパーが自宅を訪ねる訪問系サービス、デイケア・デイサービスなどの通所系サービス、自宅の住環境を整える福祉用具専門員などと協働し、療養生活を支援しています。

 ある利用者の方は、道路から自宅に入るまでの間に階段があり、車椅子では出入りが困難な状況でした。ご家族も「本人は家に帰りたいという思いが強い」と在宅復帰を希望され、福祉用具専門員も加わり、住環境整備と在宅サービスの検討を行いました。車椅子で家に入れるよう、必要な環境整備を行い、無事に退院できました。通院や通所・訪問サービスを利用しながら、安定した状態で、自宅で暮らしておられます。

 在宅支援に関わる各サービス、各専門職が利用者やご家族の状態などの情報を共有するツールとして、一部のケースで共通ノートを使っています。その場合、可能ならばご本人にも食事摂取状況などご自身の健康状態を書き込んでいただき、事業所の違うヘルパー同士で情報を共有しています。そうすることで、お互いの支援状況や、訪問ごとに利用者の状態などを把握し、しっかり連携を図ることができます。

 関わる職種全員で横のつながりを強く持ち、情報を共有することで、現在の支援が果たして良いものかどうか、いろいろ意見を出し合いながら取り組んでいます。専門職が一つのチームとして、それぞれの専門性を生かし、互いを尊重しながら、一丸となって同じ目標に向かうことを目指しております。

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 瀬戸ライフサポートセンター=特別養護老人ホーム瀬戸内荘(0865―67―3100)、介護老人保健施設瀬戸いこい苑(0865―67―0770)

 かながわ・じゅんこ 福山市立福山高校、宇部短期大学家政学科卒。1998年から瀬戸いこい苑に勤務。介護支援専門員、介護福祉士。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年03月05日 更新)

タグ: 介護笠岡第一病院

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