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(4)瀬戸ライフサポートセンターの役割と課題 瀬戸ライフサポートセンターセンター長 社会福祉法人かぶと会理事長 阿曽沼由加里

笠岡市新横島地区で開かれている高齢者のサロンでは、かぶと会の職員が出張ボランティアとして参加し、介護予防体操やレクリエーションを行っている

特別養護老人ホームで暮らすお年寄りたちは幼稚園児との交流を楽しみにしている

浅口市・鴨方高校の生徒は毎年、ボランティアと介護体験の授業として当センターを訪れ、お年寄りと交流し、車椅子の介助方法を学び、清掃作業にも取り組んでいる

 瀬戸ライフサポートセンターの役割として、次の三つが重要だと考えます。

 (1)医療と介護の連携(2)個々のニーズに適合したサービスの選択と提供(3)地域との協働により、地域の福祉を支える

 (1)の「医療と介護の連携」に関しては、今までは、医療(治療)が終了したら介護へバトンタッチ…という役割分担で協働していました。しかし今後、特に高齢者の場合、医療も介護も一緒に伴走しながら、その方の最も必要なサポートを、それぞれの専門性を活(い)かして提供していくことが大切だと思います。

 例えば、疾病が悪化して入院治療が必要になった方がいらっしゃいました。隣接の笠岡第一病院で適切な治療を受け、病状は安定しました。でも食事がとれないので、なかなか退院できません。

 食べる意欲を引き出し、食べることを支えるのは介護の仕事です。退院し、生活を取り戻して生きたいと願う気持ちになれば、食べられるようになります。医師と連携し、定期的に病院を受診し、検査も受けて、医療の伴走で支えてもらっています。

 ご本人を中心に、医療面の知識や治療と、介護面の知識や対応力、個性尊重の考え方、その人を全人的にみるアセスメント力などを組み合わせ、医療と介護が互いに補い合い、その方に最も適切な支援を重層的に提供したいと思います。

 (2)の「サービスの選択と提供」というのは、ご本人・ご家族のニーズや状態に合ったサービスが、自らの意思に基づいて選択できるということです。ご本人のためにも、社会保障制度を維持するためにも、適正で効率的な医療・介護・福祉のサービス提供が重要だと思います。

 瀬戸ライフサポートセンターには、さまざまな介護・医療サービスが集約されています。老人保健施設と特別養護老人ホームには個室から多床室まであり、少人数単位のユニット型、従来型と、施設内での住まい方もそれぞれ違っています。少し離れた場所にはグループホームや高齢者住宅もあります。認知症の症状や身体状態、その方の個性、生き方に合わせて、なるべく適切な選択ができるよう、今後も多様なサービスを提供していきます。

 (3)の「地域の福祉を支える」ことは、社会福祉法人としての使命だと思っています。私たちは地域の高齢者が集う「いきいきサロン」などにボランティアとして参加し、中学・高校生らが福祉を学ぶ授業の受け入れも十数年継続して行っています。

 法人として地域に出ていく機会はまだ少なく、地域の皆さんのニーズも十分に把握できていないのが課題ですが、笠岡市が計画している「介護支援ボランティア活動」などと連携し、より深く広く地域と結びついていきたいと思います。

 最後に、今、介護の現場は職員不足で苦しい状況にあるところが多いと思いますが、私から一言、エールを送らせてください。

 <私は介護の仕事をしてきて本当に幸せです>

 当センターのご利用者とご家族の皆さん、そして職員が、ここで過ごす時間を「実りある豊かな時間だった」と思っていただけるよう、法人自体も皆さんと一緒に成長し続けていく決意です。皆さんの人生の一端をご一緒させていただき、本当にありがとうございます。

=終わり
     ◇

 瀬戸ライフサポートセンター=特別養護老人ホーム瀬戸内荘(0865―67―3100)、介護老人保健施設瀬戸いこい苑(0865―67―0770)

 あそぬま・ゆかり 岡山朝日高校、神戸女学院大学文学部卒。社会福祉法人かぶと会に入り、1996年から特別養護老人ホーム瀬戸内荘施設長。2008年からかぶと会理事長兼務。介護支援専門員、介護福祉士。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年03月19日 更新)

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